自営業者必見! 「予定納税」の仕組みとかしこい付き合い方
配信日: 2022.12.08
個人事業主のなかには毎年予定納税の通知が届くけれど、その仕組みを詳しく知らない、どうせ納税するのにわざわざ「予定納税」として納めるメリットがよくわからないという人もいることでしょう。
ここでは「予定納税」とは何なのか、予定納税を利用するメリットについて詳しく解説します。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
予定納税ってなに?
予定納税とは所得税の納税方法の一つで、その年の5月15日に確定している「前年分の所得金額や税金」をもとに計算を行い、その金額が15万円以上となる場合にその年の所得税と復興支援特別所得税の一部をあらかじめ納税するというものです。
つまり本来は翌年にまとめて支払う税金の一部をその年に納税することで、税金を分割して前払いすることができ、一度にかかる高額な納税の負担を軽減させるというメリットがあります。またこの予定納税は前年の所得税が15万円以上の人全員が対象となります。
予定納税基準額の計算方法について
予定納税の計算方法は、前年の所得の状況によって2パターンあります。
(1)以下の条件に当てはまる方は、前年の申告納税額がそのまま予定納税基準額になります。
・前年の所得金額のうちに臨時的な所得がないこと。この場合の臨時的な所得とは山林所得、退職所得の分離課税の所得、または譲渡所得、一時所得、雑所得、臨時所得をさします。
・前年の所得について外国で課税された所得税を支払って、外国税額控除の適用を受けていないこと
・前年の所得税について災害により所得税の免除等の適用を受けていないこと
(1)に該当しない方は(2)の計算方法で予定納税額を算出します。
前年度の課税所得及び分離課税の上場株式等にかかる課税配当所得等の金額にかかる所得税-源泉徴収額+復興特別所得税=予定納税額
予定納税の通知と支払い期日
予定納税は、所轄の税務署長からその年の6月15日までに、書面で通知されます。第1期分として予定納税基準額の3分の1を7月1日から7月31日までに、第2期分として11月1日から11月30日までに納めなければいけません。予定納税は税金を前払いするものであっても、所得税の一部です。この納付期限を過ぎると延滞税の対象となるので納税期日は守るようにしましょう。
また予定納税の納付方法には、納付書とともに現金で納付する直接納付、金融機関の口座から引き落とす振替納付、自宅から手続きできる電子納付の3つの納付方法があります。
予定納税は減額することもできる
予定納税は前年の所得税を基に予定納税額を計算します。ところが、売り上げがその年ごとに波のある事業主の場合は、想定よりもその年の売り上げが伸びず予定納税を多く払ってしまうケースが考えられます。
実はこのように業況不振で本年分の所得が前年分の所得よりも明らかに少なくなると見込まれる場合や、廃業・休業等によって通知された予定納税が支払えない場合などは、予定納税の減額を申請することができます。また災害によって損失を受けた場合も同様に、予定納税額の軽減免除を受けることができます。
予定納税の第1期支払いは7月ですが、その前月の6月末の段階で予定納税基準額よりも所得税が少なくなると算出された場合は、7月15日までに「予定納税額の減額申請書」を税務署に提出し承認されることで、予定納税が減額されることがあります。
同様に、第2期は10月末までに見積もり、11月15日までに申請をしましょう。
予定納税を理解してきちんと納税しよう
個人事業主にとって予定納税は、その仕組みを知り理解することで所得税を無理なく納税できる手助けになります。
一方で納税を忘れたり滞納したりしてしまうと延滞税の対象となりますので、納付期間を考慮して1年間の納税計画をしっかり立てておくとよいでしょう。
出典
国税庁 No.2040 予定納税
国税庁 [手続名]所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級