更新日: 2022.12.30 その他税金
コロナの影響で、国税の納付が困難になったらどうしたらいい…?
そこで今回は、新型コロナウイルスの影響によって国税の納付が困難となった場合の対応について解説します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
国税の納付が困難な場合は猶予制度の利用を
所得税や法人税、相続税や贈与税といった国税には猶予制度があります。納税によって事業の継続や生活が困難となったとき、災害によって財産を失ったときなど特別の事情がある場合は、申請に基づき猶予制度の適用を受けることで最大1年間納税が猶予されます(状況に応じてさらに1年間猶予されることもあります)。
さらに、猶予期間中は納税が遅れることで生じる延滞税が軽減されます。具体的には、本来年8.7%となる延滞税の割合が0.9%となります(令和4年度の場合)。また、財産の差し押さえや換価(売却)が猶予されます。
国税の納付が困難な場合は、この猶予制度を利用しましょう。
納税の猶予の対象となる方
納税の猶予は誰でも必ず対象となるわけではありません。具体的には次のような条件に該当する必要があります。
・新型コロナウイルス感染症の消毒作業が行われたことにより、備品や棚卸し資産を廃棄した
・本人または生計を同じくする家族が病気にかかり、国税をいちどきに納付できない
・やむを得ず事業を休廃業した
・利益の減少などにより、著しい損失を受けた
大まかに言うと、新型コロナウイルスの影響によって損害が生じた場合や休廃業した場合、利益が減った場合は納税の猶予が認められるということです。
このように、納税の猶予には、基本的に新型コロナウイルスの影響などによるやむを得ない理由が必要となります。私生活で浪費をしてしまった、などという理由では認められません。
なお、猶予を受けられる金額については、減少した利益や生じた損害の額が上限となります。必ずしも納税すべき金額の全額とはならないことにご注意ください。
納税の猶予には申請が必要
納税の猶予を受けるためには、猶予申請書を記載し、管轄の税務署へ提出することが必要となります。該当すれば自動的に猶予されるわけではありません。
申請の際は税務署にわざわざ出向かずとも、パソコンやスマートフォンからe-Taxを利用して電子申請することも可能です。電子申請は、申請書を直接税務署へ提出する手間がなく、時間や曜日を問わず自宅から手続きを済ませられるためおすすめです。
猶予をしないとどうなる?
国税の納付ができない状況において、猶予の手続きをしないまま放置することは絶対に避けましょう。国税が期限までに納付されない場合、原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞税が課されます。
最悪の場合、延滞税と元本とで国税の額が膨れ上がり払いきれなくなってしまったり、財産が差し押さえられたりしてしまう場合もあります。
国税の猶予は申請が必要ですが、複雑な手続きではなく時間もさほどかかりません。申請に多くの費用を要することもありません。国税の納付が困難であれば、放置をすることなく速やかに猶予の手続きを取るようにしてください。
コロナの影響で国税の納付が困難となったら猶予の申請を
コロナの影響で収入が減少したなど、国税の納付が困難となったときは申請に基づく猶予制度の適用を受けるようにしてください。延滞税の割合を下げるとともに、財産への差し押さえを避けることができます。
払えないものは仕方ないと放置してしまうと、納付すべき額がどんどん大きくなってしまい、最悪の場合財産が差し押さえられる可能性もあります。
不明点などあれば税務署へ相談し、必ず猶予の申請を行うようにしてください。
出典
国税庁 新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ
執筆者:柘植輝
行政書士