2023年、お金に関する制度改正にはどんなものがある?
配信日: 2023.01.10
2023(令和6)年から適用される税制改正の内容が盛り込まれている今回の税制改正大綱の中で、お金に関する制度改正についてはどのようなものがあるのかをご紹介します。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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目次
NISA制度の恒久化と投資枠拡大
今回の税制改正でも特に注目されていたNISA制度の内容については、今後大きく変わることになりました。改正内容は以下のとおりです。
1.現行のNISA、つみたてNISAは2023年12月31日までの買付とする
2.非課税限度額を「つみたて投資枠」と「成長投資枠」に分け、現行のつみたてNISAの非課税限度額(年間40万円)を年間120万円までに、現行の一般NISAの非課税限度額(年間120万円)を年間240万円までに増額し、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせた生涯非課税限度額を最大1800万円(その内、成長投資枠は最大1200万円)までに拡大する
3.非課税で運用できる期間の制限を撤廃し、無期限とする
4.「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用を可能とする
極めて高い水準の所得に対する税負担の適正化
その年分の基準所得金額から3億3000万円を控除した金額に 22.5%の税率を乗じた金額がその年分の基準所得税額を超えているケースには、その超える金額に相当する所得税を課税します。
ここでいう基準所得金額とは、株式の譲渡所得だけではなく、給与・事業所得や土地建物の譲渡所得、その他の各種所得を合算した所得金額をいいます。
ただし、適用については令和7年分以降の所得税からとなります。
相続開始前に贈与があった場合の相続税の見直し
相続または遺贈により財産を取得した者が、相続の開始前から7年以内(現行:3年以内)に、その相続に関わる被相続人から贈与によって財産取得をしたことがあるケースには、当該贈与によって取得した財産における価額(当該財産のなかで当該相続の開始前から3年以内に贈与によって取得した財産以外の財産は、当該財産の価額合計から 100 万円を控除し残った額)を相続税の課税価格に加えて計算することとします。
ただし、延長した期間(4年間)の間に受けた贈与のうち、一定額については相続財産に加算しません。
相続時精算課税制度の見直し
相続時精算課税適用者が、贈与によって特定贈与者から取得した財産に関わるその年分の贈与税において、現行基礎控除とは別に、基礎控除 110万円を課税価格から控除が可能となります。
さらに、特定贈与者の死亡に関わる相続税において課税価格に加えて計算等をされる、贈与によって当該特定贈与者から取得した財産の価額は、前述の控除をした後の残額とします。
長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに関わる固定資産税について
大規模修繕工事を行ったマンションに関わる固定資産税において、大規模な修繕工事が完了した年の翌年度分の、そのマンションの家屋に関わる固定資産税について、固定資産税額(1戸当たり 100 平方メートル相当分までに限る)の3分の1を参酌して6分の1以上2分の1以下の範囲内において市町村の条例で定められた割合に相当する額を減額します。
対象となるマンションは、マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づいて、マンションの管理に関連する計画が、都道府県等の長によって認定(修繕積立金の額の引き上げによって認定基準に適合したケースに限る)されたもの。または都道府県等からマンションの管理の適正化を図るため必要な助言、もしくは指導を受けることで長期修繕計画を適切に見直ししたケースです。
当該認定または助言または指導に関わるマンションのうち一定のものについて、令和5年4月1日から令和7年3月31日までの間に長寿命化に資する一定の大規模な修繕工事を行い、その旨を当該マンションの区分所有者が市町村に申告したものが該当します。
所得税額の付加
所得税額に対し、新たに1%付加税を課します。さらに、復興特別所得税率を1%引き下げ、その課税期間を延長します。
加算税制度の見直し
無申告加算税の割合(現行:15%[納付すべき税額が50万円を超える部分は20%])について、納付すべき税額が300万円を超える部分に対する割合を 30%に引き上げます。
現行制度の適用期限延長
・直系尊属から結婚や子育てのための資金を一括で贈与された場合の、贈与税の非課税措置について・・・2年延長(令和7年3月31日まで)
・教育資金を一括で贈与された場合の贈与税の非課税措置について・・・3年延長(令和8年3月31日まで)
まとめ
令和5年の税制改正大綱では、さまざまな改正内容が公表されていますが、そのなかで私たちの生活に関係しているものを取り上げてみました。
特にNISAの改正は、当初予定されていた内容から大きく変わったこともあり、今後の取り扱いに注目が集まりそうです。また、贈与税の非課税措置については延長されたものがありますので、新しい期限がいつなのかを把握しておきましょう。
相続時精算課税制度の内容も変更になったことから、今後の贈与税の取り扱いにも注意が必要です。
(※)自由民主党 令和5年度税制改正大綱 (令和4年12月16日 自由民主党・公明党)
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員