【48万円分以上もお得に!?】確定申告では「別居家族分の控除」を忘れずに
配信日: 2023.01.24
扶養親族にすることで受けられる扶養控除や、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料・介護保険料・国民年金などを支払った社会保険料の控除、医療や介護にかかった費用の医療費控除も適用できます。
余計な税金を払わないように、控除できるものはしっかり申告しましょう。
執筆者:二角貴博(ふたかど たかひろ)
2級ファイナンシャルプランナー
同居していない親の医療費
家族が同居していなくても、医療や介護でかかった費用の一部を控除可能です。
確定申告では、本人や家族が病院など医療機関を受診した場合、原則10万円以上の負担があれば医療費の一部を控除可能です。これには老人ホームの入居費など介護サービスにかかる費用も含まれます。繰り返しになりますが、医療費控除を受けるには同居している必要はないのです。
具体的な控除額を求める計算式は次のとおりです。
医療費控除額=実際に支払った医療費の合計額-生命保険などで補塡(ほてん)される額-10万円(または、年間総所得金額等200万円未満の場合は総所得金額等の5%)
国税庁のホームページには、母親が郷里で1人暮らしをしている場合、「母親と子供が生計を一にしている場合は、医療費を実際に支払った子供の医療費控除の対象となります」と記載されています。
「生計を一にしている」とは、離れて暮らしていても生活費や学費・療養費等を負担している場合が含まれます。この考え方は、医療費控除だけではなく扶養控除にも使われるので覚えておきましょう。例えば、離れて暮らしている親が自らの年金収入だけでなく、子どもから生活費等の仕送りを受けている場合は医療費控除の対象となるのです。
本人や同居している家族だけでなく、別居している家族分の医療費も合計すれば、年間でかなりの金額を控除できるかもしれません。
同居していない親を扶養親族に
同居していなくても、所得税法上の扶養親族にすることは可能です。会社で行う年末調整や税務署に提出する確定申告では、扶養親族の名前と続柄・生年月日等を記載します。
扶養親族に該当するかは、「生計を一にするかどうか」が判断基準です。親族の年間所得が48万円以下で、生活費などを常に仕送りしている事実が分かれば、別居していても扶養控除が受けられるのです。例えば、70歳以上の同居していない親族であれば、48万円の所得控除を受けられます。
扶養控除の金額は年齢によって、図表1のとおり決められています。
【図表1】
控除名 | 対象年齢 | 扶養控除額 |
---|---|---|
一般扶養親族 | 16~18歳 23~69歳 |
38万円 38万円 |
特定扶養親族 | 19~22歳 | 63万円 |
老人扶養親族(同居) | 70歳以上 | 58万円 |
老人扶養親族(別居) | 70歳以上 | 48万円 |
国税庁 No.1180 扶養控除、専門用語集より筆者作成
離れて暮らしている家族の控除を忘れずに
確定申告を行う際の扶養控除や医療費控除は、家族との同居が必須条件ではありません。常に仕送りを行っていて、家族の所得が48万円以下であれば、別居していても控除できる場合があります。確定申告の際は、控除できるものはもれなく控除しましょう。
ちなみに、扶養親族とは6親等内の血族および3親等内の姻族等をいいます。所得の計算や扶養親族の範囲など、不明な点があればお近くの税務署に聞いてみましょう。
確定申告は実際に税務署へ行かなくても、自宅から電子申告でも行えます。余計な税金を払うことのないよう、控除の見直しを行い正しい申告をしましょう。
出典
国税庁 同居していない母親の医療費を子供が負担した場合
国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 No.1130 社会保険料控除
国税庁 専門用語集
執筆者:二角貴博
2級ファイナンシャルプランナー