更新日: 2023.02.11 控除
医療費控除は「医療費のお知らせ」の利用で手間が激減する?
実は、医療費のお知らせは確定申告に使うことができ、医療費控除の申告書類作成が楽になるのです。
本記事では、医療費のお知らせを使った医療費控除について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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医療費控除とは
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が10万円(※)を超える場合に適用を受けられる制度で、所得から差し引ける所得控除の1つです。医療費控除の金額は、以下の算式で計算します。
医療費控除の金額=医療費の合計額-保険金など補填された金額-10万円(※)
※その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額
例えば、医療費の合計が30万円だった場合の医療費控除の金額は、30万円-10万円=20万円ということになります。
確定申告書に「医療費控除の明細書」の添付が必要
医療費控除を受けるためには、医療費の領収書を基に「医療費控除の明細書」を作成して、確定申告書に添付しなければなりません。
【図表1】
出典:国税庁 医療費控除の明細書
医療費控除の明細書には、医療を受けた人の氏名、病院など支払先の名称、金額などを記載するようになっています。
作成すること自体は単純作業であり難しくはないものの、1年間取りためた医療費の領収書を、1枚ずつ確認して集計していく作業は、意外と大変なものです。中には、「医療費控除の明細書が面倒だから、もう医療費控除は受けなくてよい」という人もいるほどです。
「医療費のお知らせ」があれば明細の作成不要
健康保険から届く「医療費のお知らせ」を見ると分かるように、医療費の集計表となっています。
医療費控除を受ける際には、この医療費のお知らせを確定申告書の添付書類にすることで、医療費控除の明細書は「1医療費通知に記載された事項」の記載のみで済ませることができます。
【図表2】
出典:全国健康保険協会 「医療費のお知らせ」を1月13日より順次発送します
ただし、すべての医療費のお知らせが対象になるわけではなく、図表3の項目すべてが記載されている必要がある点に注意しましょう。
【図表3】
・被保険者等の氏名
・療養を受けた年月
・療養を受けた者
・療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
・被保険者等が支払った医療費の額
・保険者等の名称
国税庁 医療費控除の明細書を基に作成
様式、発送時期、記載期間などは健康保険によって異なる
「医療費のお知らせ」の発行方法は、健康保険によって異なります。発行されるタイミングは、年1回、毎月、数ヶ月に1回など、また、届く様式もはがきやA4用紙などさまざまですが、記載されている内容に大差はありません。確定申告書の添付書類にできるか、図表3の6項目を確認しましょう。
全国健康保険協会(協会けんぽ)の掲載期間は前々年10月~前年9月分
「医療費のお知らせ」に記載されている医療費の期間に注意しましょう。1月1日から12月31日までの医療費ではない場合があるからです。
例えば全国健康保険協会の場合には、前々年10月から前年9月までの受診分となっているため、医療費のお知らせだけでは医療費控除の対象になる医療費が足りません。前年10月から12月分の医療費については、領収書に基づいて医療費控除の明細書を作成する必要があります。
「医療費のお知らせが届くから」と安心して、領収書を処分しないようにしましょう。
まとめ
「医療費のお知らせ」は「医療費控除の明細書」の記載を省略できる便利なアイテムです。記載内容が1年分でなくとも、医療費の総額の目安にもなるため、医療費控除が受けられるかどうかの判断材料としても活用できるでしょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1120医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 医療費控除の明細書
全国健康保険協会(協会けんぽ)
全国健康保険協会(協会けんぽ) 「医療費のお知らせ」を1月13日より順次発送します
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部