ハンドメイド品を売って月3000円の売り上げた! これって副業になりますよね?
配信日: 2023.07.28 更新日: 2023.08.10
休日や長期休暇を利用して制作をしていたので、副業にはあたらないとAさんは思っているのですが、会社への申請や確定申告の必要ないのでしょうか?
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
副業は雑所得?事業所得?
「ひと月たった3000円ほどの売上、年間でも4万円にもならない。だから、副業には当たらない」と考えるのはちょっと待ってください。
いくら会社の休日や長期休暇を利用して作品を作っている場合でも、わずかな金額でも、利益を得る目的で繰り返し販売をしているのは「業」とされます。よって「副業」にあたります。
ところで、売上から、売上に必要な材料費などの経費を引いたもうけの部分を「所得」といいます。「営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得」は、事業所得と認められるものでなければ、雑所得に該当します(雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得で、どこにも当てはまらないものです)。
その所得のための活動が、社会通念上で事業といえるものの場合は事業所得とされますが、所得に関わる取引を記録した帳簿書類の保存がない場合は雑所得とされます(その所得の収入金額が300万円超、かつ、事業と認められる事実がある場合を除きます)。
給与所得者が副業、確定申告は必要?
Aさんは会社員ですから、本業の給与所得があります。複数の所得がある場合、所得を合計し税額を計算します。売り上げから、売り上げに必要な材料費などの経費を引いたもうけの部分を「所得」といいます。
しかし、
・給与等の収入が2000万円以下
・一カ所から給与の支払いを受けている
・給与について源泉徴収や年末調整が行われる
という場合、給与所得以外の所得の合計が20万円以下であれば、原則として確定申告を要しないとされています。
ただし、これは、給与以外の所得が20万円以下なら申告しなくてもよいということではなく、本業の給与所得の納税については年末調整で完了しているので、その他の所得が20万円までなら、その分のためにわざわざ申告しなくていいよというものです。
よって、同じ年に医療費控除など、他に確定申告する必要がある場合は、給与所得以外の所得が20万円以下でも申告する必要があります。
ただし、これは所得税の場合です。所得税で申告が不要でも、住民税は収入の多少に関わらず申告が必要です。
会社に申請は必要?
働き方改革により、平成30年1月、副業・兼業について、現行の法令のもと留意事項をまとめたガイドラインが厚生労働省により作成されました。令和2年9月には、企業も従業員も安心して副業・兼業を行うことができるようにルールが明確化されました。
さらに、令和4年7月には、兼業・副業を希望する労働者が、適切な職業選択をしてキャリア形成をすることを促進するためにガイドラインが改定されました。
令和4年7月に改定されたガイドラインには、裁判例により、企業が副業に制限することができるのは、以下の場合と解されています。
(1) 労務提供上の支障がある場合
(2) 業務上の秘密が漏えいする場合
(3) 競業により自社の利益が害される場合
(4) 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
(引用:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」)
これらは、従業員が副業・兼業をしていることを届け出ないと、会社は把握できません。
よって、まず会社の労働契約や就業規則を確認しましょう。副業・兼業が禁止されているのか、許可の場合でも届け出が必要かどうかを確認しましょう。
出典
法第35条《雑所得》関係
国税庁 No.1500 雑所得
国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
国税庁 No.1300 所得の区分のあらまし
厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン
※2023/8/10 記事を一部修正いたしました。
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者