今月は「決算賞与」が支給された! でも税金が引かれて「手取り」が少なくなるって本当? 理由を解説

配信日: 2023.08.03

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今月は「決算賞与」が支給された! でも税金が引かれて「手取り」が少なくなるって本当? 理由を解説
賞与(ボーナス)が支給される会社もあれば支給されない会社もありますが、前者の場合、一般的に夏と冬の年2回支給されます。また、他に決算時などに別途賞与を出す会社もあります。
 
会社が好決算で、一般的に利益が予定よりたくさん出た場合、社員に還元しようというのが「決算賞与」です。今回はこの「決算賞与」と、それにかかわる税金について説明します。
小久保輝司

執筆者:小久保輝司(こくぼ てるし)

幸プランナー 代表

30数年の営業経験と金融・経済の知識をマッチング納得いくまでお話しさせていただきます。

賞与にはどんなものがあるの?

賞与には、「基本給連動型賞与」と「業績連動型賞与」、「決算賞与」などがあります。
 
「基本給連動型賞与」とは、基本給に連動して賞与の支給額が決定する制度で、一般的に夏季と冬季の年2回定期的に出す会社が大半です。基本給連動型賞与の額は、「基本給×〇ヶ月(支給月数)」で計算します。
※「基本給」とは手当などを引いた給与のベースとなる金額です。
 
「業績連動型賞与」とは、仕事の成果で賞与を決定する制度で、海外では一般的に実施されており、日本でも導入している会社が増えてきています。業績連動型賞与は、賞与が業績に連動し、個人や部署の成績により支給額が変わるため、モチベーションの向上につながりやすくなります。
 
「決算賞与」とは、経営者の判断で、決算が終わったタイミングで支給される臨時の賞与です。
 
通常の賞与とは区別して、一般的には企業が好決算に伴い出します。おおむね支給時期は、事業年度終了の日の翌日から1ヶ月以内(法人税法施行令により)に支払われます。そして決まった形の支給方法はありません。
 
※支給時期を事業年度終了の日の翌日から1ヶ月以内に支払った場合(法人税法施行令により)などの条件を満たした場合、会社は損金処理が可能です。
 

賞与にかかる税金にはどんなものがある?

基本的に、所得に対してはすべて税金がかかります。賞与も例外ではありません。会社員の給与にかかる税金には、「所得税」と「個人住民税」があります。
※給与には、基本給に残業代や賞与も含まれます。
 
「所得税」は、個人の所得にかかる税金で、1年間の収入から経費を差し引いた所得から、所得控除を差し引いた課税所得に、所得額に応じた税率(累進課税)をかけ、控除額を引き税額を計算します。
 
所得税は確定申告が必要ですが、会社員の場合は、給与から源泉徴収され、年末調整で調整されますので、医療費控除などがある場合を除き、確定申告の必要はありません。
 
「個人住民税」は、日々の生活のなかで行政サービスを維持するため、必要となる費用を住民が分担するもので、税率は一律10%です。個人住民税は、前年の1月から12月の所得に対してかかる税金で、原則1月1日の住居地で払うことになります。ただし会社員の場合は、給与から天引きされます。
 
また個人住民税は、道府県が課税する道府県民税(県民税)と市区町村が課税する市町村民税(市民税)の2つから構成されます。
※東京都は、都民税と区市町村民税となります。
 
このように、所得税は所得の発生した年に、個人住民税は、翌年に支払うことになります。
 

決算賞与の税金は

「決算賞与」は、決算賞与が支給された年には所得税と社会保険料が差し引かれ、翌年には賞与を12等分した金額(他の所得と合算)が個人住民税として給与から差し引かれることになります。
 
ただし、社会保険料の計算では、賞与は4回以上になると、賞与ではなく標準報酬月額の対象として見なされ、毎年7月の定時決定時に賞与を12等分した金額を上乗せした標準報酬月額で計算することになります。
 
また、会社は年3回以下の場合は年金事務所等に「被保険者賞与支払届」が必要となります。
 

まとめ

決算賞与も所得になりますので、例外ではなく税金がかかります。思いがけなくもらえるため、喜びの大きい決算賞与ですが、むだ使いするのではなく有意義な使い道を考えましょう。
 
執筆者:小久保輝司
幸プランナー 代表

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