たまたま買っていた「暗号資産」がうれしい値上がり! もし100万円の利益が出たら税金はどのくらいかかりますか?
配信日: 2023.09.05
本記事では、暗号資産から得た利益にかかる税金について詳しく説明します。暗号資産の税金について理解を深めて、より計画的な取引や資金の計算を行うための参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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暗号資産に関する税金の基礎知識
暗号資産から得た利益がどのような所得区分に該当し、どの税率が適用されるのか、課税の対象となるタイミングはいつなのかなどを把握しておけば、取引時に税金の観点も考慮に入れることが可能です。
本項では、暗号資産に関する税金の基礎知識について紹介します。
暗号資産の利益は雑所得に区分される
暗号資産取引によって得られる利益は、「雑所得」に分類されます。雑所得とは、給与所得や事業所得、利子所得、不動産所得などとは異なり、特定のカテゴリーに該当しない所得のことです。公的年金や副業によって得られる所得も、同様に雑所得に分類されます。
累進課税が適用され、所得税率は5~45%
上述のとおり、暗号資産から得た利益は雑所得に分類されますが、給与所得などと同じく、所得額に応じて税率が段階的に上がる超過累進課税が適用されます。
課税所得額と税率は、図表1のとおりです。
【図表1】
課税所得額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1000円から194万9000円 | 5% | 0円 |
195万円から329万9000円 | 10% | 9万7500円 |
330万円から694万9000円 | 20% | 42万7500円 |
695万円から899万9000円 | 23% | 63万6000円 |
900万円から1799万9000円 | 33% | 153万6000円 |
1800万円から3999万9000円 | 40% | 279万6000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6000円 |
出典:国税庁 No.2260 所得税の税率
例えば、暗号資産取引で得た課税所得が200万円の場合、所得税は「200万円×10%-9万7500=10万2500円」となります。
課税対象となるタイミング
暗号資産の取引において、どのタイミングで課税対象となるか把握する必要があります。暗号資産取引では、主に以下3つのタイミングで暗号資産取引の利益が確定して、課税対象となります。
●暗号資産を売却したタイミング
●暗号資産で決済したタイミング
●暗号資産を別の暗号資産に交換したタイミング
暗号資産取引以外の所得がある場合の税金
暗号資産取引において、利益が100万円発生した場合の税金は、5万円(100万円×5%)となります(図表1)。ただし、他に給与所得などの暗号資産取引以外の所得がある場合、税金の計算が異なることがあります。
例えば、給与所得が200万円あり、暗号資産の利益(雑所得)が100万円だった場合、所得税額は20万2500円(300万円×10%-9万7500円)です。
暗号資産の税金に関する注意点
暗号資産取引をする際に注意点を把握することで、より計画的な取引や税金対策が可能になります。本項では、暗号資産の税金に関する注意点について詳しく見ていきましょう。
暗号資産を保有しているだけなら税金はかからない
上述のとおり、暗号資産の課税対象となるのは、売却や決済、または交換したタイミングです。そのため、暗号資産を単に保有しているだけでは、利益は確定せず、税金は発生しません。
損益通算や損失の繰越控除はできない
暗号資産に関しては、損益通算や損失の繰越控除ができない点に留意してください。損益通算とは、赤字を他の黒字の所得と相殺させて課税所得額を減少させることで、税金を節税する仕組みです。
損失の繰越控除とは、控除ができなかった損失を翌年度に持ち越して節税する方法です。暗号資産取引で損失が発生しても、損益通算や繰越控除は適用されないことを理解しておきましょう。
暗号資産取引する際には税金も考慮しよう
暗号資産で得た利益は、雑所得に分類され、累進課税が適用されます。したがって、利益(課税所得額)に応じて、5~45%の税率が適用されます。
暗号資産は、売却や決済または交換をしたタイミングで課税対象となります。また、損失が生じても、損益の通算や繰越控除は行えないため注意が必要です。税金のことも考慮して、売却や決済または交換などを検討しましょう。
出典
国税庁 暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)
国税庁 雑所得
国税庁 所得の区分のあらまし
国税庁 所得税の税率
国税庁 損益通算
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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