更新日: 2024.03.29 控除
扶養のため「年収106万円」になるようにしていますが、働き過ぎて「110万円」になりそうです。その場合「手取りが減る」って本当ですか? いくら減ってしまうのでしょうか?
また、2024年10月からは、これまで加入する必要のなかった人も年収が約106万円を超えると社会保険に加入しなければならなくなるので注意が必要です。そこで本記事では、年収110万円の場合に手取り額がいくらになるのか、解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年収から引かれるもの
年収から引かれるものは所得税や住民税といった税金と、健康保険料や厚生年金保険料といった社会保険料です。ただし、税金には給与所得控除や基礎控除があり、年収が少ない場合は税金を抑えられます。
所得税については給与所得控除55万円と基礎控除48万円を合計した103万円が基準となり、所得が103万円を超えると所得税の支払いが発生します。
所得税の税率は103万円を超えた所得に対して、「1000円から194万4000円まで」は5%です。住民税は、給与所得控除55万円は変わりませんが、基礎控除が43万円となります。そのため、所得が98万円を超えると、所得割10%と均等割5000円が発生するのが一般的です。
また、社会保険料も年収130万円以上でなければ基本的に社会保険の加入対象ではないので、支払う必要はありません。ただし、2024年10月からは社会保険の加入対象者が拡大されるので、これまで年収を抑えていた人も社会保険料を支払わなければいけなくなる可能性がでてきました。
年収110万円の手取り額は107万円
年収110万円の場合で社会保険料を支払わない場合は、給与所得控除55万円と基礎控除48万円を差し引くと7万円が所得金額になります。その7万円×5%で3500円が所得税です。
住民税の所得金額は給与所得控除55万円と基礎控除43万円を差し引くので12万円となります。所得割が1万2000円、均等割が5000円なので、住民税は1万7000円です。所得税と住民税の合計額は2万500円となり、110万円から差し引くと手取りは107万9500円です。
2024年10月からは手取り額が93万円になる可能性も
2024年10月からは社会保険の対象が拡大されるので、社会保険料を支払わなければいけなくなる可能性があります。具体的には、次の要件を満たすと社会保険の対象となる予定です。そのため、年収106万円以上の人も社会保険の加入対象となります。
・所定労働時間が週に20時間以上30時間未満
・賃金が月額8万8000円以上(残業代や賞与を含まない)
・2ヶ月を超える雇用の見込みがあること
・学生でないこと
・勤務先の従業員数が51人以上であること
年収が110万円で社会保険料を支払う場合は、東京都在住で年齢が35歳の主婦だと健康保険料が月額4900円、厚生年金保険料が月額8967円です。毎月1万3867円の負担となります。年額では16万6404円の負担です。
もっとも、所得税と住民税については社会保険料控除として支払った社会保険料分を差し引けるようになるので、税金はかからなくなります。そのため、年収110万円で社会保険料を支払う場合の手取り額は93万3596円です。
2024年10月からは今まで以上に年収に注意しましょう
年収が106万円から110万円になると収入が増えると思いがちですが、社会保険料を支払わない場合でも手取り額は約107万円とあまり増えないことが分かりました。また、社会保険の加入対象となると社会保険料を支払わなければいけません。この場合の手取り額は約93万円です。
年収106万円の場合と比較すると大きく収入は減ってしまいます。2024年10月からは社会保険の対象が拡大されるので、年収には今まで以上に注意するようにしてください。
出典
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.1199 基礎控除
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト パート・アルバイトのみなさま
全国健康保険協会 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
国税庁 No.1130 社会保険料控除
東京都主税局 個人住民税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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