高校生の息子のアルバイト収入が「年103万円」を超えてしまった! 親の「扶養」から外れてしまうの? 税金や健康保険料への影響を解説

配信日: 2024.08.08

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高校生の息子のアルバイト収入が「年103万円」を超えてしまった! 親の「扶養」から外れてしまうの? 税金や健康保険料への影響を解説
人手不足による人材確保や物価上昇による最低賃金引き上げを理由に、アルバイトの時給が上がっています。子どものアルバイト収入が年収103万円を超えた、超えそうだという家庭が、夏休み明けには増えるかもしれません。
 
子どものアルバイトは税金や健康保険料にどう影響するのでしょうか。また、どのような場合に子どもは親の扶養から外れてしまうのかは気になるところです。本記事では、夫婦と高校生の子1人の3人世帯を例に解説します。
福嶋淳裕

執筆者:福嶋淳裕(ふくしま あつひろ)

日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

リタイアメントプランニング、老後資金形成を得意分野として活動中の独立系FPです。東証一部上場企業にて、企業年金基金、ライフプランセミナー、DC継続教育の実務経験もあります。

https://www.fp-fukushima.com/

ポイント

今回、シミュレーションするケースは以下のとおりです。


・夫婦と子ども1人の3人世帯(子どもは高校生。以下、本人といいます)
・本人のアルバイト収入が初めて年93万円を超えそう(ただし130万円までにはならない)
・本人の収入はアルバイトの給与のみ

ポイントは次のとおりです。


・年収の期間は1月から12月まで
・給与収入に関する税金には「所得税」と「住民税」の2つがある
・年収が103万円を超えると所得税が課税される(年収が103万円を超えると税制上の扶養から外れる)
・住民税には内訳として均等割、所得割などがある
・前年の年収が各自治体の基準(93万円、100万円など)を超えると住民税の均等割が課税される(5000円前後)
・前年の年収が100万円を超えると住民税の所得割が課税される(税率10%)
・ただし、未成年者で前年の年収が204万4000円未満の場合、住民税は均等割、所得割ともに非課税となる
・所得税、住民税が課税される場合、勤労学生控除という仕組みを利用し、納付税額を軽減することができる

これらを年収別にまとめて以下に説明します。なお、年収にかかわらず、高校生本人に健康保険料はかかりません(一部を除き学生は社会保険上の扶養から外れません)。
 

年収が「93万円以下」から「100万円以下」までの場合

未成年者で前年のアルバイト年収が100万円以下の場合、本人に税金はかからず、親の税金にも影響しません。
 
成年者で年収が93万円を超えると自治体によって、100万円を超えれば全国どこでも、住民税(均等割)がかかります。親の税金には影響しません。「年収93万円~100万円」になりそうな場合、均等割が本人に課税されるかどうかは自治体によって異なるため、住んでいる市区町村の住民税担当課に問い合わせましょう。
 

年収が「100万円超103万円以下」となる場合

未成年者で前年のアルバイト年収が100万円超103万円以下の場合も、本人に税金はかからず、親の税金にも影響しません。成年者で年収が100万円超103万円以下となる場合、本人に所得税はかかりませんが、住民税(均等割、所得割)が課税されます。親の税金には影響しません。
 

年収が「103万円超130万円以下」となる場合

未成年者で前年のアルバイト年収が103万円超130万円以下の場合、本人に住民税はかかりませんが、所得税が課税されます。ただし、年末調整または確定申告で「勤労学生控除」を使えば、所得税もかかりません(天引きされていれば戻ってきます)。
 
成年者で年収が103万円超130万円以下となる場合、住民税・所得税とも本人に課税されます。「勤労学生控除」を使えば所得税はかからず、住民税もかからないか、または大きく軽減されます。
 
一方、年収が103万円を超えると、本人が「勤労学生控除」を使うか使わないかにかかわらず、税制上は親の扶養から外れ(親は扶養控除を使えなくなり)、親の税金が増える点に注意が必要です。
 
また、親の勤務先に、子どもがいる従業員を対象とした家族手当、扶養手当などがある場合、子どもの条件を外れてしまうこともありえます。
 

まとめ

高校生の子どものアルバイト年収がすでに103万円を超えてしまった場合、勤労学生控除を使って本人の税金をゼロにする、または少額にすることができます。
 
ただし、親の税金が増えることは避けられません。まだ103万円を超えていない場合、今年のアルバイトは103万円ぎりぎりで終わりにしてもらうことを話し合ってみてはいかがでしょうか。
 

出典

国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 No.1175 勤労学生控除
総務省 個人住民税
 
執筆者:福嶋淳裕
日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

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