転職で年収が「400万→500万円」にアップ! でも翌年の「住民税」が一気に高くなるって本当? それぞれの住民税をシミュレーション
配信日: 2024.08.09
本記事では、住民税の基本的な仕組みや、年収が400万円から500万円にアップした場合に住民税がどのくらい引かれるのかシミュレーションした結果を解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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住民税は年間所得に対して10%が課税される地方税
住民税は、都道府県や市区町村が、行政サービスの維持などを目的に地域住民に課す「地方税」の一種です。
住民税には、年間所得に対して10%が課される「均等割」と所得に関係なく一律の金額負担が課される「均等割」の2種類にわかれます。東京都の場合、均等割にあたる個人都民税の税額は1000円、個人区市町村民税の税額は3000円、森林環境税が1人年額1000円課税と決まっている一方、所得割は個人の所得の金額に応じて課税額が変わります。
住民税額の通知が納税者のもとに届くのは、毎年6月頃です。会社員など給与所得者は6月から翌年の5月までの12回に分け、給与から住民税が天引きされる形で納税します。
住民税は、前年1月1日から12月31日までの「年間所得額」に応じて課税されるため、残業時間の増加や昇進などで前年の所得が増えた場合、今年課される住民税は前年の住民税よりも高額になります。
年収400万円と500万円の住民税のシミュレーション
年間所得が上がると住民税の「所得割」が増加することにより、翌年の住民税の負担が増加します。昇進や昇格で年収が大幅にアップして、翌年の住民税が不安な人は、大まかな住民税のシミュレーション方法を知っておくと良いでしょう。
まず、住民税の基礎控除は年間所得2400万円まで「43万円」です。
社会保険料については、健康保険料が4.99%(東京都の場合・勤め先と折半)、厚生年金保険料が9.15%(勤め先と折半)、雇用保険は0.6%、介護保険料が0.8%(勤め先と折半)で考えます。
年収400万円に保険料率を当てはめると、400万円×(4.99%+9.15%+0.6%+0.8%)となり、62万1600円です。
年収500万円に保険料率を当てはめると、500万円×(4.99%+9.15%+0.6%+0.8%)となり、77万7000円です。
年収から基礎控除位43万円と「給与所得控除」「社会保険料控除」を差し引けば、年間の住民税の概算が可能です。
年収400万円の住民税は約170万円
年収400万円の人の場合、基礎控除43万円に加えて給与所得控除が「400万円×20%+44万円=124万円」と社会保険料控除62万1600円で229万1600円が控除されます。よって課税対象になる金額は400万円-229万1600円で170万8400円です。
住民税の金額は170万8400円×10%+均等割5000円となり、17万5840円と計算できます。
年収500万円の住民税は約235万円
年収500万円の人の場合、基礎控除43万円に加えて給与所得控除が「500万円×20%+44万円=144万円」+社会保険料控除が77万7000円で合計264万7000円が控除されます。よって課税対象になる金額は500万円-264万7000円で235万3000円です。
住民税の金額は235万3000円×10%+均等割5000円となり、24万300円と計算できます。
まとめ
年収が100万円アップしても納税額が上がるため、実際に受け取れる手取りは100万円アップには届きません。
税金や社会保険料を安くおさえるには、課税所得を下げる「控除」を増やすなどの対策があります。生命保険の加入による「生命保険料控除」、iDeCo(個人型確定拠出年金)の積立による「小規模企業共済等掛金控除」などを活用し、節税を考えてみてはいかがでしょうか。
出典
東京都主税局 個人住民税
全国健康保険協会 令和6年度保険料額表(令和6年3月分から)
日本年金機構 厚生年金保険料額表
厚生労働省 雇用保険料率について
全国健康保険協会 協会けんぽの介護保険料率について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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