母が「今度編み物をフリーマーケットで販売したい」と言います。販売時の価格には、消費税を上乗せする必要がありますか?
配信日: 2024.08.15
執筆者:吉野裕一(よしの ゆういち)
夢実現プランナー
2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
各種セミナーやコラムなど多数の実績があり、定評を受けている
消費税とは
消費税とは、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して課税されるもので、消費者が負担し事業者が納付する税になります。
消費税の納税義務者は、課税期間(※1)の基準期間(※2)における課税売上高が1000万円を超える事業者となります。基準期間の課税売上高が1000万円以下でも、特定期間(※3)の課税売上高が1000万円を超えた場合には、その課税期間において課税事業者となります。
基準期間の課税売上高および特定期間の課税売上高が1000万円以下の年(法人は事業年度)は納税が免除され、免税事業者となります。
ただし、現在は課税売上高が1000万円以下であっても、インボイス制度の登録を行うことで納税事業者となります。
(※1)個人事業主は暦年、法人は事業年度
(※2)個人事業主は前々年、法人は前々事業年度
(※3)個人事業主の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日まで、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間
個人的な販売に関して、消費税はかかりません
一般の人がフリーマーケット等でモノを販売する場合は、消費税はかかりません。消費税の納付義務があるのは、「事業者」であるからです。事業者とは、個人事業主や法人が該当します。消費税は業務として継続的な取引を行う場合に、国内の取引に対して納付義務が生じます。
今回のように、一般の人が趣味の一環として行うモノやサービスの販売に対しては、消費税の納付義務はありません。したがって、フリーマーケットに出店する際に、消費税を上乗せする必要はありません。
しかし、フリーマーケットでモノを売る際は注意点もありますので、以下にまとめてみました。
フリーマーケットなどで、編み物や手作り雑貨を売るときの注意点
前項でも述べたように、フリーマーケットで手編みのものや手作り雑貨などを売るときに消費税を納める必要はないので、値段に上乗せする必要はありません。
ただし、趣味の一環ではなく「事業」として行う場合には、消費税を納めなくてはいけなくなるケースもあるので、注意が必要です。
また、フリーマーケットに出店する以外にパートなどで働いていた場合、年間の利益が20万円を超えるときは、確定申告が必要となります。これは「年間の利益」なので、作成に対する材料費などの費用を売り上げから差し引いた金額になります。
20万円以内であれば確定申告の必要はありませんが、本人が所得税の課税されない103万円以内の給与収入を得ていたとしても、パート収入とフリーマーケットで得た副収入とを合わせて100万円を超えた場合には、住民税の申告が必要となります。
また編み物を出すときに、気を付けなくてはいけないのが、本やインターネットサイトの編み方などを参考にして作ったものです。中には編み方に著作権があるものもあり、編み方を見ながらできたものを販売してしまうと、著作権侵害に当たるケースもあるようです。
まとめ
消費税の納税義務者は、基本的には「事業者」であり、個人がフリーマーケットなどで売買する取引に関しては、消費税は課税されません。ただし、個人の趣味以上に「商売」として取引を行う場合には、その人は消費税の納税義務者になります。
また、消費税だけではなく、収入が増えることによって、所得税や住民税の納税義務が発生することもあるかもしれません。収入がさらに多くなった場合には、配偶者の扶養に入っていると、扶養から外れる可能性もあることに注意しておきましょう。
出典
国税庁 消費税のしくみ
国税庁 確定申告が必要な方
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー