友人は「パチスロ」で生計を立てています。勝ったり負けたりで収入が不安定なようですが「税金」はどうなるのでしょうか?
配信日: 2024.09.01 更新日: 2024.09.02
所得の種類によって税額や確定申告が必要な基準が異なるため、注意が必要です。今回はパチスロで所得税の課税対象となり確定申告が必要になる場合を、ケース別にご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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パチスロで生計を立てていれば確定申告が必要なケースも
パチスロで勝ったお金は収入とみなされるため、金額によっては確定申告が必要です。パチスロで勝ったお金はおもに「一時所得」か「雑所得」のどちらかに該当します。どちらに該当するのかは、パチスロで得た収入が営利目的かどうかで変わるため、注意しましょう。
所得の種類によって、確定申告が必要となる基準が異なります。なお、確定申告の計算に用いる収入は年間を通しての収入総額なので、パチスロで勝った金額や勝つために費やしたお金などはあとからでも分かるようメモやアプリを利用して管理しておきましょう。
一時所得とみなされた場合
一時所得とは、営利目的以外の行為により発生した所得のことです。娯楽の一環としてパチスロを行い、お金を得ている場合に該当します。国税庁によると、パチスロで勝ったときの一時所得の計算式は以下の通りです。
・総収入金額(パチスロで勝った金額)-収入を得るために支出した金額(勝つために使った金額)-50万円(特別控除)
特別控除として50万円が定められているため、パチスロで勝った金額が50万円を超えていなければ確定申告の必要はありません。
課税金額は、上記の計算で求めた金額の2分の1です。また、実際に納める税額を計算するときは、給与所得などほかの所得と合算をしたうえで計算します。
例えば、以下の条件を基にパチスロで一時所得を得ていたときの税額を計算しましょう。
●パチスロは2万円投入して60万円を得た
●給与所得が150万円
●給与所得はすでに社会保険料控除や給与所得控除を行った金額
まず、パチスロで稼いだ分の一時所得は「60万円-2万円-50万円」で8万円です。2分の1が課税対象となるため、4万円に給与所得を足した154万円が所得税の課税対象となります。
所得税は48万円の基礎控除があるため、106万円が所得税の計算に使われる金額です。国税庁の「所得税の速算表」によると、106万円だと所得税率は5%のため、今回のケースだと5万3000円の所得税が発生します。
雑所得とみなされた場合
雑所得は、ほかのどの所得にも該当しない所得を指します。例えば、副業で得た所得なども雑所得です。生計を立てるためにパチスロをしている場合は、営利目的として雑所得と判断される可能性があります。
国税庁によると、パチスロで生計を立てているときの雑所得の計算方法は以下の通りです。
・総収入金額(パチスロで勝った金額)-必要経費(勝つために使った金額)
給与所得がなく、パチスロのみで生計を立てている方は、上記の式で計算した金額が、所得税の基礎控除額である48万円を超えていなければ確定申告の必要はありません。所得税の計算は、一時所得と同じくほかの所得と合算して計算します。
もし1年間のパチスロによる総収入金額が200万円、かかった費用が20万円だった場合の雑所得は180万円です。ほかに所得がないとすると、180万円から基礎控除額48万円を引いた132万円の所得税率は5%のため、6万6000円の所得税がかかります。
負けた金額を経費にすることは難しい
基本的に、一時所得で経費とみなされるのは勝つために使用したお金のみです。60万円勝ったときに2万円を費やし、ほかの台で10万円の損失があったとしても、経費として認められるのは勝ったときに使用していた2万円になります。
また、雑所得で経費申請をするには領収書など経費の証明が必要です。証明がなければ経費として認められない可能性があるため、負けた金額を経費として申請することは難しいでしょう。
パチスロは基本的に勝った金額を基に税額を計算される
パチスロで生計を立てている場合は、雑所得としてみなされる可能性があります。給与所得がなく、雑所得のみの場合では、年間の収入が48万円を超えていれば確定申告が必要です。
なお、確定申告の計算にパチスロで負けた費用を経費として計上することは難しいといえるでしょう。雑所得の場合、経費申請をするには領収書などの証明が必要であるため、証明がなければ経費として認められない可能性があります。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1490 一時所得
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1500 雑所得
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2260 所得税の税率
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー