更新日: 2024.10.20 その他税金

不動産を譲渡したら税金が高額に!? 不動産の譲渡所得の税金は短期譲渡に注意!

不動産を譲渡したら税金が高額に!? 不動産の譲渡所得の税金は短期譲渡に注意!
譲渡所得とは土地建物(以下「不動産」という)・株式・ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得をいいます。譲渡というと譲り渡すという意味なので無償で他人に物を渡すように考えがちですが、違います。譲渡とは売却のことです。
 
譲渡所得は、譲渡した資産および所有期間によって計算方法や課税方法が異なります。特に不動産は、譲渡金額が大きくなることが多いので細心の注意が必要です。
北山茂治

執筆者:北山茂治(きたやま しげはる)

高度年金・将来設計コンサルタント

1級ファイナンシャルプランニング技能士、特定社会保険労務士、健康マスターエキスパート
大学卒業後、大手生命保険会社に入社し、全国各地を転々としてきました。2000年に1級ファイナンシャルプランニング技能士資格取得後は、FP知識を活用した営業手法を教育指導してきました。そして勤続40年を区切りに、「北山FP社会保険労務士事務所」を開業しました。

人生100年時代に、「気力・体力・財力3拍子揃った、元気シニアをたくさん輩出する」
そのお手伝いをすることが私のライフワークです。
ライフプランセミナーをはじめ年金・医療・介護そして相続に関するセミナー講師をしてきました。
そして元気シニア輩出のためにはその基盤となる企業が元気であることが何より大切だと考え、従業員がはつらつと働ける会社を作っていくために、労働関係の相談、就業規則や賃金退職金制度の構築、助成金の申請など、企業がますます繁栄するお手伝いをさせていただいています。

HP: https://www.kitayamafpsr.com

不動産・株式等以外の資産の譲渡所得の計算

不動産・株式等以外の資産の譲渡、例えばゴルフ会員権や骨董などは、所有期間が5年以下か5年超かによって税率が違いますので注意しましょう。所有期間が5年以内の場合、これを短期譲渡所得といいます。所有期間が5年超の場合、これを長期譲渡所得といいます。
 
計算式は次のようになります。
 
収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除(50万円)= 課税譲渡所得金額
 
他の所得、例えば給与所得などと合計して計算する総合課税制度が採用されており、譲渡所得の税額は以下のように計算します。

(1) 長期譲渡所得  課税長期譲渡所得金額×20%(所得税15%、地方税5%)
(2) 短期譲渡所得  課税短期譲渡所得金額×39%(所得税30%、地方税9%)

なお、総所得金額を求めるときに合計する所得金額は、短期譲渡所得の場合の金額はその全額ですが、長期譲渡所得の金額は、その2分の1に相当する金額です。
 

株式等の譲渡所得の計算

株式の譲渡については長期短期の区分はありません。
 
計算式は次のようになります。
 
収入金額-(所得費+譲渡費用)+負債利子=課税譲渡所得金額
(特定口座(源泉徴収あり)の場合は、原則として確定申告は不要です)
 
他の所得、例えば給与所得などと分離して計算する申告分離課税制度が採用され、譲渡所得の税額は以下のとおりです。
 
課税譲渡所得金額×20%(所得税15%、地方税5%)
 

不動産の資産の譲渡所得の計算

不動産の譲渡については、譲渡した年の1月1日時点の所有期間が5年以下か5年超かで税率が変わってきます。
 
譲渡所得の金額は、次のように計算します。
 
収入金額 – (取得費 + 譲渡費用) – 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
 
土地や建物を譲渡した場合の特別控除額は、以下のとおりです(一定の要件を満たす場合、特別控除が適用されます)。

●収用等により不動産を譲渡した場合 ・・・ 5000万円
●マイホーム(居住用財産)を譲渡した場合 ・・・ 3000万円
(被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した場合・・・ 3000万円)
●特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合 ・・・ 2000万円
●特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合 ・・・ 1500万円
●平成21年および平成22年に取得した土地等を譲渡した場合・・・1000万円
●農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合 ・・・ 800万円
●低未利用土地等を譲渡した場合 ・・・ 100万円

(注) 不動産の譲渡所得から引く特別控除額の最高限度額は、年間譲渡所得全体を通じて5000万円です。

土地や建物の譲渡による所得は、給与所得などの他の所得と合計せず、分離計算する分離課税制度が採用されています。譲渡所得の税額は以下のとおりです。

(1) 長期譲渡所得  課税長期譲渡所得金額×20%(所得税15%、地方税5%)
(2) 短期譲渡所得  課税短期譲渡所得金額×39%(所得税30%、地方税9%)

 

復興特別所得税の計算

平成25年から令和19年まで、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになっています。復興特別所得税は名前に所得と付くように、所得税に対してのみ加算されます。
 
長期譲渡所得なら、課税長期譲渡所得金額×20%(所得税15%、地方税5%)のうち所得税に対して2.1%ですから、15%×2.1%=0.315%加算されます。
同様に短期譲渡所得なら、課税短期譲渡所得金額×39%(所得税30%、地方税9%)のうち所得税に対して2.1%ですから、30%×2.1%=0.63%加算されます。
 

不動産の資産の譲渡所得の長期短期の判定

株式等の譲渡所得では、長期と短期の違いがあります。この違いによって約2倍の税率の違いになるわけですから、5年以下か5年超かの判定はとても重要になります。
 
株式を除く不動産の資産の譲渡は、譲渡した年の1月1日時点の所有期間となっています。
ということは、例えば12月15日に譲渡した場合は、所有期間の計算では、その年の1月1日にさかのぼって譲渡したことになり、実際の所有期間より11ヶ月以上長くなってしまいます。不動産の資産の譲渡については、この点を十分に注意してください。
 
不動産の資産の譲渡は高額になりますから、当然税金も高額になります。不動産の資産の所有期間の判定方法に注意すること。さらに特別控除額も100万円から5000万円と高額になりますので、特別控除の対象になるかならないかも重要です。
 

出典

国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
国税庁 No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)
国税庁 No.1460 譲渡所得(土地、建物及び株式等以外の資産を譲渡したとき)
 
執筆者:北山茂治
高度年金・将来設計コンサルタント

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