更新日: 2024.11.16 控除
保険会社の「控除証明書」を誤って捨ててしまった! 保険料が少ないなら「年末調整」に出さなくても“損”しない?「年収500万円」の会社員のケースでシミュレーション
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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控除証明書は、必要不可欠な書類?
医療保険・生命保険などに加入している人に毎年届く「控除証明書」。この控除証明書の有無で、来年度の所得税などの課税金額が変化します。
適用されるのは「生命保険料控除」で、契約締結日が平成24年1月1日以後は「新契約」、それ以前に契約締結したものは「旧契約」と区分されており、生命保険料控除ができる金額がそれぞれ異なります。
控除証明書には新契約・旧契約それぞれの金額が書かれていて、合計金額を生命保険料控除として申請できます。旧契約での年間支払保険料が2万5000円以下・新契約での年間支払保険料が2万円以下の場合では、それぞれ全額が控除可能です(年間を通じて支払った保険料の合計額によって、控除できる金額区分が設定されています)。
生命保険料控除の上限額は12万円で、保険料をそれ以上支払っていても超過した分は控除されません。
控除証明書の有無で、課税額は変わる?
それでは、控除証明書の有無で所得税などの課税額がどのように変わるのか、試算してみましょう。
年収500万円の40代会社員で、配偶者(扶養家族で年収103万円以下)との2人世帯のAさん。令和2年からAさんが加入している医療保険(新契約)の掛け金は、年間4万8000円(月額4000円)です。
(1)控除証明書を紛失して提出しなかった場合の、所得税などの主な課税見込み額
厚生年金:45万180円
健康保険料:28万4868円
雇用保険:3万円
所得税:9万6700円
住民税:20万8400円
手取り見込み額:393万1152円
(2)控除証明書を提出した場合の、所得税などの主な課税見込み額
厚生年金:45万180円
健康保険料:28万4868円
雇用保険:3万円
所得税:9万5100円
住民税:20万5800円
手取り見込み額:393万6752円
控除証明書を提出すると、手取り額が約5600円増える試算結果になりました。このように、控除証明書の有無で「課税見込み額」が変わってきます。
(3)控除証明書を提出して定額減税を加えた場合での、所得税などの課税見込み額
令和6年度は「定額減税」が行われているので、合わせて試算してみましょう。定額減税は、所得税では1人3万円・住民税では1人1万円が減税され、扶養家族(配偶者など)の分も加算されます。
厚生年金:45万180円
健康保険料:28万4868円
雇用保険:3万円
所得税:9万5100円-(本人の減税3万円+扶養家族の減税3万円)=見込み額3万5100円
住民税:20万5800円-(本人の減税1万円+扶養家族の減税1万円)=見込み額18万5800円
手取り見込み額:401万6752円
このケースでは定額減税によって、手取り額が8万円上昇しています。
数年前の控除証明書は無効ですか?
もし、数年前に控除証明書を紛失していて見つけた場合、さかのぼって提出できるのでしょうか?
生命保険料控除は、5年前までの書類なら税務署に申告が可能です。年末調整された後の源泉徴収票と、見つけた控除証明書を使って、改めて所得税の還付申告ができます。還付申告を行えるかは、税務署に相談すると良いでしょう。
まとめ
自分が加入している保険会社から届く「控除証明書」は、年末調整に必要な書類です。控除証明書に記載された金額は、来年度の所得税などの課税金額に影響があります。支払った保険料が少額でも、生命保険料控除で減税することが可能です。
紛失してしまった場合には保険会社に再発行をお願いして、年末調整に提出しましょう。年末調整の後に勤務先から源泉徴収票をもらったら、課税額などが正しく計算されているか確認することが望ましいです。
出典
国税庁 No.1140 生命保険料控除
内閣官房 新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置
国税庁 A1-2、H1-1 所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー