離れて暮らす母親の「通院費」や「治療費」を私が支払っています。同居していないときは「医療費控除」の対象外でしょうか?
配信日: 2024.11.26
医療費控除は、条件を満たしていれば本人が親族のために支払った費用も本人の控除に含める制度です。今回は、医療費控除の対象になる条件や控除される金額の例などについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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医療費控除の対象になる条件とは
医療費控除は、自分だけでなく自分と生計を一にする親族にも適用されます。国税庁によると、医療費控除の対象となる条件は、以下の通りです。
●納税者本人が、本人または本人と生計を一にする親族や配偶者のために支出した医療費である
●その年の1月1日~12月31日の間に支払った医療費である(当年度の未払い分は実際に支払った年に持ち越される)
例えば、本人が生計を一にする親のために通院費や薬代を同じ年に支払っていた場合は、親のものも含まれます。しかし、通院費や薬代が後払いで実際に支払うタイミングが次年度になる場合、その年の医療費控除としては申請できません。
なお、親が遠方に住んでいる場合でも条件を満たしていれば生計を一にしているとして、医療費控除に合算が可能です。国税庁によると、同じ家に住んでいない場合でも、以下の条件を満たしていれば生計を一にしているとみなされます。
●当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合
●これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合
つまり、定期的に親子で会っており、親へ医療費を含む生活費などの支援をしていれば、子どもの医療費控除に親のものを含めます。
控除される金額の例
医療費控除が適用される金額は、「実際にその年に支出した医療費-保険金などで支給されたお金-10万円」で求められます。以下の条件で、医療費控除の金額を求めてみましょう。なお、控除上限額は200万円です。
●母親の通院費が毎月2万円
●母親の薬代が毎月1万円
●自身の入院費が50万円
●自身の薬代が1万円
●保険による支給が30万円
まず、母親の医療費は「2万円×12ヶ月+1万円×12ヶ月」で合計36万円です。自身の医療費と合算すると、医療費合計は87万円になります。医療費控除は保険による支給金と10万円を引いた金額のため、「87万円-30万円-10万円」で47万円が控除の対象です。
ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の方の場合は、10万円の代わりに総所得金額等の5%を差し引きます。もし総所得金額等が150万円の方の場合、医療費控除を計算する際に使用する金額は7万5000円です。
必要なお金であれば親側にも贈与税はかからない
親族へお金を渡すとき、課税対象にならないようチェックしておきたい項目が贈与税です。国税庁によると、扶養義務者から治療費などの生活のためのお金を必要になるたびに渡した場合に関しては、贈与税はかかりません。例えば、親が通院費用が必要になり、通院のたびに子どもから送金してもらっている場合は非課税です。
しかし、送金したお金を親が通院費に使わず、貯金したり株式に使ったりするとその金額分は課税対象になります。贈与税は受け取った側が支払うため、結果として親側の税金負担が増えることになるでしょう。
医療費を送金する際は、必ず親に「医療費として使う」ことを伝えることが大切です。
同居していなくても生計を一にしているなら医療費控除の対象
医療費控除は、本人でなくても本人と生計を一にする親族であれば対象になります。遠方に住んでいる場合も同様で、本人が親の生活費や治療費を支援しており、定期的に会っていれば生計を一にしているとみなされ、親の医療費も本人の医療費控除の対象です。
なお、医療費控除の計算にあたって、保険金などの支給分を引くことを忘れないようにしましょう。また、総所得金額等が200万円未満のときは差し引く金額が変動します。
なお、親に送金する形で支援をするときは、医療費や生活費以外の目的で使わないよう伝えておきましょう。もし送金したお金を親が貯金などに回すと、その金額分の贈与税が親に課される可能性があります。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 同居していない母親の医療費を子供が負担した場合
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー