更新日: 2024.12.03 控除
同僚と基本給は同じなのに「社会保険料」は私のほうが高かったです…なぜでしょうか?
これは、社会保険料は基本給以外の要素も含めて決められるためであることが考えられます。
社会保険料の決まり方や計算に含まれる範囲を知っておくと、今後社会保険料に差があっても納得しやすいでしょう。今回は、社会保険料の決まり方や計算に含まれる手当などについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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社会保険料はどのように決まる?
社会保険料は健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険の4種類から成り立っています。このなかでも、健康保険と介護保険、厚生年金保険は、標準報酬月額を基に金額が決められる保険です。
標準報酬月額は、税金が差し引かれる前の月収を一定の幅で分けた「報酬月額」に照らし合わせて決定されます。例えば、月収が25万円のときの標準報酬月額は26万円です。このように、必ずしも自身の月収と同じになるとは限りません。
標準報酬月額は、基本的に毎年4~6月の間の給料を基にして改定されるといわれています。そのため、同期間で収入が高かった方は、同程度の収入の方よりも社会保険料額が高くなる可能性があるでしょう。
また、基本給だけでなく各種手当も税引き前の給料として計算されます。同僚より手当が多いときも、社会保険料は高くなることが考えられます。
社会保険料の計算に含まれる手当とは
厚生労働省神奈川労働局によると、計算に含まれる手当の例は以下の通りです。
・残業手当
・深夜手当
・扶養手当
・役職手当
・地域手当
・住宅手当
・単身赴任手当
・通勤手当
など
例えば、同僚は会社の近所に一人暮らしをしており、自身は遠方から電車で通っている場合、社会保険料を計算する際には通勤手当が加算されます。さらに、家族を残して一人で会社のある場所へ来ている場合は、単身赴任手当も加算されるでしょう。
加算される手当額が多いほど、社会保険料も多くなります。会社によっては独自の手当制度を採用しているところもあるので、同僚と社会保険料が大きく異なるときは、源泉徴収票などでどのような手当が採用されているのか確認しましょう。
社会保険料が高いメリット
社会保険料が高いと、将来受け取れる年金額も多くなります。日本年金機構によると、平成15年4月以降に厚生年金に加入した方の老齢厚生年金の基本的な求め方は「平均標準報酬額×0.005481×加入月数」です。
平均標準報酬額は月収を基にした標準報酬月額と、賞与を基にした標準賞与額から計算できます。つまり、標準報酬月額が高いほど老齢厚生年金額が高くなる仕組みです。
また、社会保険料が高いと「社会保険料控除額」も大きくなります。社会保険料控除とは、所得税や住民税を計算する際に、所得から支払った社会保険料額分だけ引ける控除です。
所得が低いほど税額も低くなるので、社会保険料が高いと結果として節税につながる可能性があります。控除できる金額は、実際に支払った社会保険料額とされており、払えば払うだけ課税所得が低くなります。
なお、先に説明したように、社会保険料は4~6月の収入を基に決められた金額です。少しでも負担をおさえたいときは、この時期になるべく残業をしない、深夜勤務に入らないなどの工夫ができます。
ただし、社会保険料が減るとその分年金額も減る点は理解しておきましょう。
社会保険料は基本給以外の要素も含めて決めるため個人差がある
社会保険料は、4~6月の給料を基に決められます。計算に使う給料は、基本給だけでなく深夜手当や扶養手当、残業手当なども含まれるため、場合によっては同じ年収でも自分の方が社会保険料が高くなるケースもあるでしょう。
社会保険料が高いと、受給できる年金額も多くなります。社会保険料だけ見ると損をした気分でも、将来的にはより安定した年金受給につながるでしょう。もしそれでも社会保険料負担を減らしたいときは、4~6月の残業を減らしたり深夜勤務を減らしたりすることも一つの手でしょう。
出典
厚生労働省神奈川労働局 労働保険料の算定基礎となる賃金早見表【労働保険徴収課】
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー