パート勤務で年収は130万円ほどです。私の年収だと夫が「配偶者特別控除」が受けられると聞いたのですが、どういうことですか?

配信日: 2024.12.13

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パート勤務で年収は130万円ほどです。私の年収だと夫が「配偶者特別控除」が受けられると聞いたのですが、どういうことですか?
Aさんは年収130万円ほどです。「私の年収だと夫が配偶者特別控除を受けられると聞いたのですが、どういうことですか?  どのような制度で、どのような手続きが必要なのでしょうか? 」とのご相談です。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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配偶者特別控除は、配偶者の年収が103万円超205万円以下の場合に適用

配偶者特別控除と配偶者控除の違いについて確認しましょう。前提として、年収と所得をしっかり区別して理解する必要がありますので、こちらも併せて整理しながら見ていきます。
 
年収は額面、所得は手取りというイメージですね。
 
配偶者控除は、年収が103万円、所得が48万円以下の場合、一律38万円が控除されるというものです。
 
例えば配偶者(ここでは妻とします)の年収が103万円だったとすると、55万円の給与所得控除を控除した所得が48万円となります。給与所得控除というのは、会社勤務の人に認められた必要経費といった理解でいいでしょう。
 
所得が48万円以下であれば、「夫の」所得から配偶者控除として38万円が一律引かれます。その分、課税対象となる所得が減少するので、節税になるということです。
 
では、年収が103万円を超えてしまうと、いきなり「夫の課税所得から引かれる配偶者控除がなくなる!」というのではなく、「配偶者特別控除」という制度で、「段階的に小さくはなるものの夫の課税所得からは控除します」という措置があります。
 
Aさんは年収が130万円ということなので、55万円の給与所得控除を引いた
130-55=75万円
が所得とみなされますから、48万円超133万円以下(年収では103万超205万円以下)の場合に適用される「配偶者特別控除」に該当します。
 
夫の所得から控除されるこの配偶者特別控除額は、38万円から3万円までの範囲と段階的に小さくなります。
 
なお、これらはいずれも主納税者(夫)の年収が900万円以下を前提にしています。
 

どれだけ節税になるのか?

さて、気になる控除額ですが、表1で示すとおり、Aさんの年収は150万円以下なので、配偶者控除と同じだけ、38万円の控除が受けられます。
 
【表1】

表1
 

どんな手続きが必要なの?

配偶者特別控除を受けるための具体的な手続きは以下のとおりです。
 

(1) 年末調整で手続きする場合

夫が勤務先に「扶養控除等(異動)申告書」を提出します。この書類で配偶者の情報を記載し、配偶者特別控除の対象であることを申告します。年末調整時に「勤務先が」控除額を計算してくれます。このとき、妻の収入証明(源泉徴収票)が必要になる場合もあるため、手元に用意しておきましょう。この方法が一番手間もかからず簡単です。
 

(2) 確定申告をする場合

年末調整を受けていない場合や、控除の申告漏れがあった場合は、確定申告を行ってください。
 
税務署で以下の書類を提出します。

●確定申告書(AまたはB)
●配偶者の収入に関する証明書(例:源泉徴収票)

確定申告書の作成の過程で、各種控除を引いて所得税の計算の基礎を出します。その控除の中には医療費控除や社会保険料控除などのほかに配偶者控除、配偶者特別控除があります。今回のケースでは、妻の配偶者特別控除38万円を引くと、それだけ所得税の計算の基礎が抑えられることになります。
 

出典

国税庁 確定申告書等作成コーナー よくある質問 配偶者特別控除とは
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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