会社員でも確定申告をすることでメリットを受けられると聞きました。どのようなメリットが受けられるのでしょうか?
配信日: 2024.12.29
本記事では、会社員にとって確定申告が必要になる場合と、その場合どんな手続きが必要かについて説明します。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。
ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。
FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。
2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。
現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。
早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。
サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow
会社員にとって確定申告が必要になる場合とそのメリット
会社員(給与所得者)が確定申告をしなければいけない場合、またはすることでメリットを受けられる場合と注意事項は次のとおりです。
1. 年末調整の対象外とされる所得控除または税額控除が受けられ、税金が還付される。
(1)所得控除
医療費控除、寄附金控除(ふるさと納税を含む)、雑損控除
(2)税額控除
住宅ローン控除(1回目)など
※2回目以降の住宅ローン控除は、年末調整で可能です。
2. 年末調整で申告しなかった所得控除を申告すると、税の還付が受けられる
生命保険料控除、地震保険料控除、配偶者特別控除など、年末調整で反映されていないまたは申告を忘れた追加の控除があった場合、確定申告をすると税金の還付が受けられます。
3. 雑所得や不動産所得、株式譲渡所得など他の所得がある場合
給与所得以外に、20万円を超える雑所得(フリーランスの副業収入や広告収入など)、不動産所得(賃貸収入)、株式の譲渡益(配当金や譲渡益)などがある場合には、確定申告が必要です。
不動産所得がある場合、経費として必要経費(修繕費や管理費、減価償却費など)を申告できます。
4.失業期間があった場合の税金還付
退職後再就職までに無収入の期間があり、年末調整を受けていない場合は、支払い済みの所得税の一部が還付されることがあります。
5. 年収2000万円超の場合
給与所得者であっても年収が2000万円を超える場合は、年末調整の対象とならないため、確定申告が義務付けられます。
収入が多いため、各種控除や必要経費の申告で節税の機会が広がります。
6. 2ヶ所以上から給与を受け取っている場合
本業の収入以外に副業として給与を受け取っている場合や、退職して再就職した年に前職の給与がある場合など、2ヶ所以上からの給与があるときは確定申告が必要な場合があります。特に年収20万円を超える副業所得があるときはそれに該当します。
確定申告における注意事項
1. 必要な書類を準備する
控除を受けるためには、各種控除証明書(医療費の領収書、保険料の証明書、寄附金の受領証など)が必要です。必要な書類を整理しておくことが大切です。
2. 申告期限を守る
確定申告の期限は通常、翌年の2月16日から3月15日までです。期限を過ぎると追加の税金(延滞税など)やペナルティーが発生する可能性があります。
還付申告のみの場合は申告期間に裕度がありますが、そうでない場合は期限をきちんと守る必要があります。
3. 申告内容の正確性
副収入や経費を計上する際、誤りや不正があると税務調査の対象になることがあります。領収証に基づいた収入の把握、正確な計算と申告を心掛けましょう。
4. 控除の対象や上限・下限に注意
控除にはそれぞれ条件や上限・下限があるため、事前に確認して申告します。特に医療費控除やふるさと納税は上限額を超えてしまうことがあるため、注意が必要です。
5. 住民税への影響
確定申告を行うと、所得税だけでなく住民税にも影響します。例えば、副収入がある場合は住民税が増える可能性があるため、あらかじめ把握しておく必要があります。
まとめ
会社員でも確定申告をすることで、還付金を受けられたり、節税対策を行えたりするなどのメリットがあります。特定の控除や副収入がある場合、確定申告を検討する価値がありますが、書類の準備や申告内容の確認をしっかり行うことが大切です。
出典
国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー