民泊経営における収入はどの「所得」に区分される? 実際の確定申告方法も解説
配信日: 2024.12.29
観光庁運営 民泊制度ポータルサイト(minpaku)によると民泊の定義は「住宅の全部又は一部を活用して、旅行者等に宿泊サービスを提供すること」とされています。
この記事では、個人が副業やメイン事業として民泊収入を得た際に、どのような所得に分類し確定申告をすればよいのかを説明します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
・各所得に区分されるケースを紹介
民泊によって得た収入は、ケースによって雑所得、不動産所得、事業所得のいずれかに分類されます。
事業所得or雑所得
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得を指します。
一方、雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得のことを指します。
民泊が事業所得にあたるか否かは、反復性や継続性、対価性をもって判断されることになります。例えば、サラリーマンが副業として住居を一時的に民泊として活用した場合であれば、事業とは呼べず雑所得に分類するのが適当です。一方、民泊を継続的に事業として行っている場合であれば、事業所得として申告するのが適当です。
不動産所得
民泊収入は原則雑所得か事業所得に分類されますが、場合によっては、不動産所得とすることもあります。
不動産所得とは、アパートやオフィス、店舗建屋など、建物や土地を第三者に貸し付けて得る所得を指します。大家さんが得る家賃収入がその代表例です。
例えば、もともとアパート経営を営んでいる大家さんが、空室を使って一時的に民泊を営んだとします。この場合、その民泊で得た収入を家賃収入と一緒に不動産所得としても問題はありません。
ただし、民泊は単なる不動産貸付だけでなく、宿泊に付随するさまざまなサービスも提供するビジネスです。したがって、原則は雑所得か事業所得に分類するものと覚えておきましょう。
申告方法
前述した雑所得・事業所得・不動産所得いずれの場合においても、確定申告で年間の所得額を税務署に対して申告します。所得額は以下の式で算出します。
所得金額=収入-必要経費
収入は民泊で得た宿泊費などの収入が挙げられます。そこから経費を除いた利益を、所得として申告します。
経費になるもの
では、民泊ではどのような経費が計上できるのでしょうか。見ていきましょう。
●水道光熱費:民泊部屋で発生する水道代、ガス代、光熱費など
●通信費:民泊部屋のWifi費用など
●消耗品費:タオルや歯ブラシなど民泊部屋の備品購入費用
●広告宣伝費:民泊マッチングサービスの利用料など民泊事業を広告するためにかかる費用
●租税公課:民泊部屋の土地や建物に係る固定資産税・都市計画税や、不動産取得税、不動産登記にかかる登録免許税などが挙げられます。
●損害保険料:民泊部屋にかける火災保険・地震保険の保険料などが挙げられます。
●修繕費用:民泊部屋の修理等にかかる費用
●交通費:顧客送迎のためのガソリン代、物件視察のための電車代・バス代など、民泊経営に資すると認められる交通費が挙げられます。
●減価償却費:民泊部屋の建物や設備、高額な家具などの資産を、法定耐用年数に応じて少しずつ経費計上する会計処理のことです。購入時にキャッシュアウトしているため、経費計上のタイミングでキャッシュアウトがない点に注意です。
その他、ここに記載のない費用についても、民泊経営に資すると認められる費用は計上できます。
なお、費用や設備の中には、民泊とプライベート両方で利用するというものもあるでしょう(例:自宅の一部を民泊で貸し出している場合の光熱費や固定資産税など)。
これらの費用については、「家事按分」と呼ばれる考え方で民泊事業で用いる一定の割合を計算し、必要経費に計上します
まとめ
民泊で発生した所得は、他の所得と併せて20万円以上の場合は確定申告が必要です。
その内容に応じて雑所得・事業所得・不動産所得に分類されます。
いずれの場合でも、民泊にかかった支出は経費として計上できるので、経費計上の抜け漏れのないよう注意しましょう。
出典
観光庁運営 民泊制度ポータルサイト(minpaku)はじめに「民泊」とは
国税庁 「個人が行う民泊に関する所得税法上の諸問題」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー