扶養に入っている子どものバイト代が103万円を超えてしまいました。いくら税金を払わなければいけないのでしょうか?
配信日: 2025.01.02
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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年収110万円のバイト収入なら概算で2万5000円程度
まず、税金の基本的なしくみについて確認しましょう。
収入が年間103万円を超えると、以下の2つの税金が発生します
1.所得税
・収入から基礎控除・給与所得控除を差し引いた金額に課税されます。
・給与所得控除は最低55万円、基礎控除は48万円なので、アルバイト収入が103万円を超えると課税所得が発生します。
子どものバイト収入が110万円の場合、
課税所得 = 110万円 - 55万円(給与所得控除) - 48万円(基礎控除) = 7万円
所得税額 = 7万円 × 5% = 3500円
なお、控除後の課税所得にかかる税率は、課税所得額によって変わります。1000円から194万9000円までならば5%です。
2.住民税
年間収入が100万円を超えた場合、住民税として約5000円~1万円程度かかることが多いですが、具体的な金額は自治体により異なります。
子どものバイト年収が110万円の場合、
課税所得=110万円-55万円(給与所得控除)-43万円(基礎控除)=12万円
この課税所得12万円に対して10%前後の税率が適応された所得割として1万2000円がかかります。
そのほかに均等割(年額5000円前後)が課税されます。なお、一部の自治体では非課税限度額内に収まる場合はかからない場合があります。
子どものバイト年収が110万円の場合は、
所得税3500円+住民税(所得割と均等割)1万7000円=2万500円程度
がかかるということです。
夫の扶養から外れる
子どもに税金がかかるほかに重要なことは、夫の扶養から外れるということです。それにともなって、16歳から19歳の場合は年間38万円、19歳から23歳の場合は63万円分の控除が受けられなくなり、その分、夫の所得税・住民税負担が増加する可能性があります。
健康保険の扶養については、アルバイト収入が年間130万円を超えると扶養から外れる場合があります。ただし、社会保険に加入しない範囲であれば、問題ないことも多いです。健康保険の規定を確認する必要があります。
まとめ
今、この「103万円の壁=103万円を超えたら税金を納付しなければならなくなる」という議題が話題を呼んでいます。この103万円の壁は引き上げられる可能性が高まっていますが、いつどうなるかという具体的な見通しはまだ明らかになっていません。
このような税のしくみそのものが大きく変わろうとしている環境では、日ごろの動きに注意して、柔軟に対策が立てられるように心がけたいものです。
出典
厚生労働省 『年収の壁について知ろう』あなたにベストな働き方とは?
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者