家族4人でインフルエンザの予防接種を受けました。合計で1万円以上かかったのですが、医療費控除は受けられないのでしょうか?

配信日: 2025.01.05

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家族4人でインフルエンザの予防接種を受けました。合計で1万円以上かかったのですが、医療費控除は受けられないのでしょうか?
Aさんは、家族4人でインフルエンザの予防接種を受けたそうです。「合計で1万円以上かかったのですが、医療費控除は受けられないのでしょうか」とのご相談です。本稿では、医療費控除やセルフメディケーション税制について解説します。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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インフルエンザワクチンの費用は、医療費控除の対象外

医療費控除の定義や条件について確認しましょう。
 
医療費控除とは、1年間(1~12月)に支払った医療費が一定の金額を超えた場合、その超過分を所得から控除できる制度です。控除を受けるための条件は、以下のとおりです。
 
病気やけがの治療に直接かかった費用が対象で、診察代、治療費、薬代、入院費用などが含まれます。健康診断や予防接種など、病気予防や健康維持のための費用は対象外です。インフルエンザワクチンも「病気予防のための費用」に該当するため、医療費控除の対象外となります。
 

セルフメディケーション税制についても確認しよう

インフルエンザワクチンが医療費控除対象外であることは決められているのですが、せっかくの機会なので節税につながる取り組みとして、「セルフメディケーション税制」についても確認してみましょう。
 
やはり、こちらの制度でもインフルエンザ予防接種は含まれませんが、市販薬(特定成分を含むスイッチOTC医薬品)の購入費用が対象です。具体的には風邪薬、胃腸薬、解熱鎮痛剤などの費用になります。
 
1年間で購入した対象市販薬の合計金額が1万2000円を超えた場合、超えた金額について、8万8000円を上限として控除対象となります。
 
適用の条件として、健康診断やインフルエンザ予防接種など、一定の健康管理を行っていることが必要です。直接の控除対象にはなりませんが、ワクチン接種をすることでセルフメディケーション税制が利用できる証明として、保管しておきましょう。
 

セルフメディケーション税制の具体的な活用方法

具体的な手順について、確認しましょう。
 

1. レシートや領収書の保管

予防接種だけでなく、治療費や市販薬の購入費用の領収書を年間でまとめて保管します。
 

2. 対象となる市販薬の確認

購入した薬が、セルフメディケーション税制の対象かを確認します。対象薬品には、パッケージにマークが記載されています。
 

3. 確定申告の準備

確定申告が必要です。
 
具体例として、年収400万円の人が年間4万円の対象医薬品を購入した場合(生計を一にする配偶者はそのほかの親族分も含む)、4万円から1万2000円を引いた2万8000円分が課税所得から控除されるので、以下の減税効果が期待できます。

●所得税:2万8000円×20%=5600円
●住民税:2万8000円×10%=2800円

 

まとめ

医療費控除については、従来の医療費控除とセルフメディケーション税制があります。インフルエンザワクチン接種はこのいずれにも該当しません。
 
しかし、セルフメディケーション税制は日ごろから健康管理に取り組んでいることが適用条件ですので、ワクチン接種の記録を保管しておくといいでしょう。そのうえで購入した医薬品の領収書やレシートで確定申告をすれば、減税効果が期待できます。
 

出典

厚生労働省 セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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