親戚が多く、高校生の娘がお年玉を「総額10万円」近くもらいました。親の私は「確定申告」をする必要がありますか? また、何か税金はかかりますか?
配信日: 2025.01.16
執筆者:神津喜代子(こうづ きよこ)
資産運用の相談業務
資産運用の相談業務のなかで、貯金・生命保険・投資信託・変額年金保険・投資信託・NISAを取り扱い、職員指導も行なった実績を活かし、お客さまから金融商品に限らず、相続などさまざまな相談を受ける。
現在も日本FP協会のSGに参加し、研修を継続中。わかりやすく正確な最新情報の提供に努めている。
子どもの収入に対して、親が確定申告をする必要はある?
まず、確定申告について確認しましょう確定申告には、税金を納める申告と、税金が戻る還付申告があります。今回は税金を納める申告について確認しましょう。
確定申告は1年間(1月1日~12月31日)の所得に対して、所得金額と税額を計算し、支払っていない税額がある場合申告する制度です。確定申告が必要になるのは副収入があった場合など、臨時の収入を得たケースなどです。
<確定申告が必要な人は? >
所得税 については、(1)から(4)のいずれかの方です。
(1) 給与所得がある方
年収が2000万円を超える場合
(2) 公的年金に係る雑所得のみの方
・公的年金の収入が400万円を超えている場合
・公的年金以外の収入が20万円を超えている場合
(3) 退職所得がある方
源泉徴収されていない場合
(4) (1)~(3)以外の方
・各種所得から所得控除を差引残高がある場合
・収入から控除額、基礎控除48万円を引いてプラスの収入のある場合
(「1年間の収入―基礎控除48万円」で計算します)
確定申告については、分かりにくい部分が多くあります。詳しく確認したい場合は国税庁のホームページ(※1)で調べられます
タックスアンサーやチャットボットを利用して確認する、または電話で確認もできます。国税庁の「国税局電話相談センター」でも相談を受け付けています。
<確定申告をするのは誰? >
確定申告が必要となった場合、確定申告をするのは、所得または贈与を受けた本人です。
子ども・未成年であっても、所得を得た本人が申告する必要があります。また、税金を払う必要が生じた場合も本人が税金を支払います(※2)。
お年玉は「贈与税」の対象になるの?
次に、贈与税としての申告が必要かどうかを確認しましょう。
<贈与税を申告する必要がある人>
1年間(1月1日~12月31日)の間に110万円を超える金額の贈与を受けた場合です。贈与税には年間110万円の基礎控除があります。
「1年間に贈与を受けた金額―110万円」で計算します。
10万円のお年玉については、他に100万円以上の贈与を受けていなければ贈与税の基礎控除が110万円以下のため、贈与税の申告は必要ないと思われます。
<お年玉など社会通念上の贈答については非課税>
個人から受け取る、お祝いなどの金品で社会通念上相当と認められるものは非課税です。年末年始の贈答、お中元、クリスマスプレゼント、お年玉、お見舞い、香典、などが該当します。お正月に子どもや孫が受け取るお年玉も該当し、非課税となります。
ただし、社会通念上相当な額ですから、お年玉であってもあまりに高額な場合は課税となる可能性があるかもしれません。お金だけでなく、車、時計、宝石など品物の場合も対象です。現物財産をお年玉として渡した場合、110万円を超えていれば贈与税の課税対象となる可能性があります(※3)。
その他に確認しておくべきことは?
子ども名義の口座にお年玉を貯金し、親が管理している場合もあるかと思います。そのような場合、名義預金と判断され課税される可能性があります。
名義預金とは、口座名義とお金の所有者が異なる預金です。子どもの預金であっても、親の資産と判断される可能性があります。
そのようにならないためには、子どもが自由に使える状態にしておかなければいけません。口座を作成し預金してあることを子ども自身が知っている。子どもの名義として口座を作成し、親とは別の子どもの印鑑を使用するなどです。
以上、冒頭のご相談である高校生の娘が受けとったお年玉について確定申告が必要か考えてきました。10万円のお年玉については贈与税の申告の必要がないため、確定申告は必要ないと考えます。
出典
(※1)国税庁 令和6年分 確定申告特集 申告の流れ、申告が必要な方
(※2)国税庁 税の学習コーナー よくある質問と答え
(※3)国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
執筆者:神津喜代子
資産運用の相談業務