そろそろ「花粉症」の時期が近づいてきました。毎年花粉症がつらいので、薬をもらっていますが、医療費控除になりますか?
配信日: 2025.01.29
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では、花粉症にかかる費用は、医療費控除の対象になるのでしょうか?
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執筆者:水上克朗(みずかみ かつろう)
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー
医療費控除とは?
医療費控除は、1~12月までの1年間に、対象となる医療費等の支出が10万円(総所得金額が200万円未満の人は、その5%)を超えたとき、確定申告をすると適用されるものです。具体的には200万円を限度に、支払った医療費等の金額が課税所得金額から控除され、税金が確定精算されます。
ただし、健康保険から支給された給付金や、生命保険会社等から支払いを受けた医療費を補てんする保険金などは、医療費控除申請額から差し引かれます。
医療費控除の金額は、次の式で計算した金額です。
医療費控除額(上限200万円) = 1年間に支払った医療費等(家族分含む) - 保険金等で補てんされる金額(*) - 10万円(または総所得金額等の5%)
*補てんされる金額(1. 健康保険の高額療養費、家族療養費、出産育児一時金、健康組合の付加金等、2. 生命保険の入院給付金等)
還付される金額は、医療費控除額 × 所得税率(所得に応じて5~45%)となります。また、「セルフメディケーション税制」(医療費控除の特例)も受けられます。
具体的には、スイッチOTC医薬品(※)の購入額が家族の分も含めて年間1万2000円を超えたとき、所得控除が受けられ、上限は8万8000円です。スイッチOTC医薬品を購入した際の領収書は、大切に保管しておくことです。
(※)スイッチOTC医薬品……処方箋が必要な医薬品のうち、市販薬として購入できるようになったもの
なお、この特例の利用は特定健康審査等を受診していることなどが条件です。また、この特例を受けた場合は、従来の医療費控除は受けられません。
花粉症は医療費控除?セルフメディケーション税制?
花粉症はれっきとした病気であり、治療にかかった費用は、医療費控除やセルフメディケーション税制といった税優遇の対象となります。花粉症としては、(1)予防、(2)検査、(3)治療、(4)薬品など、4パターンの費用に適用できます。
(1)「予防」にかかる費用は本来、医療費控除の対象外ですが、花粉症に関してはあくまで「早めの治療」として控除の対象となります。
例えばステロイド注射や、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少量ずつ体内に吸収させることでアレルギー反応を弱めていく「舌下免疫療法」などにかかる費用が対象です。
(2)「検査」にかかる費用も本来、医療費控除の対象外です。しかし検査の結果、アレルギーが発見されて治療が必要となれば、検査代も控除の対象となります。
逆に、検査の結果「花粉症の症状がない」と診断されれば、控除の対象とはなりません。
(3), (4)「治療」や「薬品」にかかった費用は、基本的に医療費控除を適用できます。
一方、市販薬が所得控除の対象となるのが「セルフメディケーション税制」です。セルフメディケーション税制対象の薬はかなり種類が豊富です。
「スイッチOTC医薬品」と表示されていれば、控除の対象となりますので、覚えておきましょう。ただし花粉症患者が手放せないであろう、マスクやティッシュペーパーや、花粉をカットするメガネなどの購入費用は、控除の対象となりません。
また注意しなければならないのは、病気にかかった際の出費が対象の「医療費控除」と市販薬購入費用が対象の「セルフメディケーション税制」は、どちらか一つの制度しか利用できないということです。どちらかがお得なのかは、確定申告時にシミュレーションしてみましょう。
まとめ
花粉症にかかる費用は、基本的に一部を除き、医療費控除の対象になります。病院にかかった際の医療費の領収書や、スイッチOTC医薬品を購入した際の領収書は、大切に保管しておきましょう。
出典
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.2260 所得税の税率
執筆者:水上克朗
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー