ガソリン価格は「二重課税」!? 税金は「175円」のうちどれくらい? ガソリン価格の“内訳”を確認
配信日: 2025.01.31
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本記事では、1リットル175円のガソリン代の内訳を詳しく解説し、どれほどの割合が税金として支払われているのかを明らかにします。
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執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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ガソリン税に消費税がかかる! でも二重課税ではない?
まずはガソリン価格の構成を詳しく見てみましょう。1リットルあたりのガソリン価格の構成は次の通りです。
ガソリン小売価格=ガソリン本体価格+ガソリン税(53.8円)+石油石炭税(2.8円)+消費税
なお、消費税はガソリン本体価格だけではなく、ガソリン税や石油石炭税にも課税されます。
例えば、ガソリン1リットルの小売価格が175円の場合、消費税(10%)を除いた価格は159.09円です。ここからガソリン税(53.8円)、石油石炭税(2.8円)を差し引くと、ガソリン本体の価格は102.49円となります。つまり、ガソリン価格175円のうち72.51円、つまり4割以上が税金で構成されているのです。
このように、ガソリン税などに消費税がかかるため、「二重課税ではないか」と考える人がいるかもしれません。税金に税金がかかる構造となっているのは確かです。
しかし、公明党によると「ガソリン税や石油石炭税は石油メーカーなどに課された税金」(消費者に課せられたものではない)であり、その分が小売価格に組み込まれていると考えられています。一方で、消費税は消費者に課される税金です。そのため「異なる課税目的と納税義務者に基づいているため、二重課税には当たらない」という見解が示されています。
本当は25.1円安くなるはずだった? トリガー条項とは?
現在、1リットルあたりにかかるガソリン税53.8円のうち25.1円は「暫定税率」と呼ばれるものです。本来、ガソリン価格が160円を3ヶ月連続で超えた場合には、ガソリン税を25.1円引き下げる「トリガー条項」が発動する仕組みになっています。
しかし、東日本大震災後の「被災者等に係る国税関係法律の臨時特例」により、この条項は凍結され、恒常的にガソリン価格が160円を超えている現在も暫定税率は適用されたままです。
なお、2024年12月11日には、自民党、公明党、国民民主党の幹事長が暫定税率を廃止することで合意したと報じられています。実施時期は未定ですが、もし実現すれば、ガソリン税が減り、価格が安くなる可能性があるのです。
1月15日に補助金が縮小
政府はガソリン価格の急激な変動を抑えるため、「燃料油価格激変緩和対策事業」を実施し、燃料油元売り業者に補助金を支給してきました。原油価格の高騰が続く中でガソリン価格の上昇を抑える重要な役割を果たしていますが、2024年12月19日に続き、2025年1月15日に補助が縮小されています。
2024年12月の補助縮小によりガソリン小売価格が約5円上昇しました。さらに1月の補助金縮小により、直近ではさらにガソリン価格が上昇しているようです。
今後のガソリン価格は、補助縮小と廃止の影響に加え、国際的な原油価格や税制の動向に大きく左右されるでしょう。政府の動きを注視しておきたいところです。
ガソリン価格と税金、これからの動向に注目
ガソリン価格には多くの税金が含まれます。例えば1リットル175円の場合、4割以上が税金です。
ガソリン価格は補助金や国際情勢、そして政府の政策によって大きく左右されます。これからも政府の動きや市場の変化に注目し、家計への影響を最小限に抑えましょう。
出典
資源エネルギー庁 燃料油価格激変緩和対策事業について
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士