医療費控除は「収入の高い人が申告すると有利」なのでしょうか?夫が年収500万円、妻が年収300万円の場合どうなりますか?
配信日: 2025.02.10

家族全体で支払った医療費が年間10万円を超える場合、収入が高い人が確定申告をしましょう。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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医療費控除とは
医療費控除とは、1年間(1月1日から12月31日まで)に支払った医療費が一定額を超えた場合に受けられる所得控除です。医療費控除を通じて、所得税と住民税の負担を軽減できます。
なお、支払った医療費の対象となるのは「自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費」です。つまり、本人だけでなく家族の医療費を含めて計算します。
所得控除の対象となるのは、「実際に支払った医療費の合計額-10万円」です(その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%)。例えば、実際に支払った医療費の合計額が30万円の場合、20万円を課税所得から控除できます。
医療費控除の申請は年収が高い人が行う
確定申告で医療費控除を申請する際には、年収が高い人が行いましょう。例えば、夫の年収が500万円で妻の年収が300万円の場合、夫が医療費控除を申請します。
年収が高い人が行うべき理由は、還付される金額が大きくなる可能性があるためです。所得税は累進課税の仕組みとなっているため、年収が高い(適用される税率が高い)ほうが、多くの還付を受けられます。
課税される所得金額(1000円未満の端数金額を切り捨てた後の金額)が1000円から194万9000円までの部分について、適用される所得税率は5%です。195万円から329万9000円までの部分について、適用される所得税率は10%です。
一般的に、年収が500万円の人は、諸々の控除を差し引くと課税所得が「195万円から329万9000円」に収まり、年収が300万円の人の課税所得は「1000円から194万9000円」に収まります。
20万円の所得控除を受けられる場合、夫が確定申告をすれば「20万円×10%=2万円」の還付を受けられます。一方で、妻が確定申告をすると還付を受けられるのは「20万円×5%=1万円」です。
つまり、夫(年収が高いほう)が確定申告をしたほうが有利となるのです。
医療費控除の申請方法
確定申告で医療費控除を申請する際には、まず年間で支払った医療費を確認します。医療費控除を受けられる場合、国税庁のWebサイトから「医療費控除の明細書」をダウンロードしましょう。
明細書に、医療を受けた人の氏名や支払先(医療機関)、支払額を記入します。健康保険組合からの「医療費のお知らせ」がある場合、添付することで明細書の記載を簡略化することが可能です。
なお、マイナポータル連携を利用すると、医療費控除に使用できる医療費通知情報をマイナポータル経由で取得できます。取得した情報を確定申告書の該当項目に自動入力できるため、スムーズです。
続いて、職場から渡された源泉徴収票を参考に確定申告書を作成します。手書きで確定申告書を作成しても問題ありませんが、e-Taxを活用するとスムーズに必要書類を作成できます。
必要書類が揃ったら、確定申告期間(2月16日から3月15日)に税務署へ提出すれば手続きは完了です。還付がされたら税務署から郵送物が届くため、内容を確認しましょう。
まとめ
確定申告で医療費控除を申請する際には、家族の中で所得が高い人が行いましょう。適用される税率が高い人が医療費控除を受けたほうが、受けられる還付額が大きくなります。
ただし、適用される税率が同じ場合はどちらが申請しても還付される金額は変わりません。源泉徴収票に記載されている課税所得を確認したうえで、「誰が医療費控除を受けるのが得なのか」を判断しましょう。
出典
国税庁 医療費控除を受ける方へ
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.2260 所得税の税率
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー