大学生の息子が「去年のバイト代、実は年収105万円だった」と発言! 私は「年収860万円」ですが、税金はどれくらい上がるのでしょうか?
配信日: 2025.02.07

本記事では、扶養控除が親の税金に与える影響について、年収860万円の場合をシミュレーションしながら解説します。あわせて、扶養控除の修正手続きについても見ていきましょう。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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扶養控除とは
扶養控除とは、納税者が一定の条件を満たす親族を扶養している場合に、その経済的負担を軽減するために適用される所得控除です。この制度を利用すると、課税所得額から38万円から63万円の金額が差し引かれ、税金の負担が軽くなります。
扶養控除の金額は、扶養する親族の年齢によって異なります。例えば、大学生の場合、19歳以上23歳未満に該当すると、63万円の扶養控除が適用されます。
ただし、扶養控除を受けるためには、扶養している親族の年収が103万円を超えないという要件があります。年収が103万円を超えると、その親族は扶養控除の対象外となり、控除を受けることができなくなるため注意が必要です。
年収860万円で扶養控除を失ったときの税負担
扶養控除を喪失することでどれほど税負担が増加するか、シミュレーションしてみましょう。
扶養控除が適用される場合
●給与所得控除 195万円
●基礎控除 48万円
●扶養控除 63万円
年収860万円から上記を差し引いて、以下のとおりとなります。
・課税所得 554万円
課税所得 554万円に対して、累進税率を適用します。
195万円×5%=9万7500円
(330万円-195万円)×10%=13万5000円
(554万円-330万円)×20%=44万8000円
所得税額=68万500円
扶養控除が適用されない場合
●給与所得控除 195万円
●基礎控除 48万円
●課税所得 617万円
課税所得 617万円 に対して、累進税率を適用します。
195万円×5%=9万7500円
(330万円-195万円)×10%=13万5000円
(617万円-330万円)×20%=57万4000円
所得税額=80万6500円
扶養控除がない場合、所得税額は12万6000円増加
扶養控除あり(63万円)の所得税額は68万500円
扶養控除なしの所得税額は80万6500円
※住民税(所得割)は別途計算が必要になります。
扶養控除の修正手続きは確定申告で行える
年が明けて扶養親族の所得が判明し、年末調整時に申告した内容が誤っていたことが分かった場合でも、確定申告を行い、税金を納付すれば問題ありません。
確定申告は通常、翌年の3月15日までに行う必要があります。この手続きを行うことで、本人の前年の所得金額が確定し、その結果として適切な税額が決まります。
また、所得税の確定申告は居住する市区町村にも伝達されます。確定申告を通じて、住民税の調整も行われ、過不足なく税額が決定されることになります。確定申告を行うことで必要な税金を正しく納付でき、後からのトラブルを避けることができます。
まとめ
ほかの条件によって金額が変わる場合もありますが、年収が860万円の場合、扶養控除を失うことで税負担が約12万円増加する可能性があります。少しの年収オーバーでも扶養控除を受けられなくなることで、税負担が大きく変わることがあるため注意が必要です。
今後は、子どもと収入計画について話し合い、扶養控除の条件を共有しておくことをおすすめします。これにより、予期せぬ税金の負担を避けられるだけでなく、税務上のトラブルを未然に防ぐことにもつながるでしょう。
出典
国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.1199 基礎控除
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 No.2671 年末調整後に扶養親族等の人数が異動したとき
国税庁 【確定申告・還付申告】
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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