「扶養内の年収130万円だから、確定申告は関係ない」は間違い!「還付を受けられる場合」もあるの? 確定申告でお得になるケースを解説します
配信日: 2025.02.08

しかし、年収103万円を超えていれば所得税がかかっていることを知っていますか? その場合、確定申告をしたら還付を受けられる可能性があるのです。本記事では、扶養内で働く人が確定申告でお得になるケースを解説します。

執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
そもそも「確定申告」って何?
確定申告は毎年1月から12月までの所得税を精算するための手続きで、翌年の2月から3月に行います。給与から天引きされている源泉所得税は概算であるため、改めて1年分の所得税を計算しなおし、正しい所得税より源泉所得税のほうが多ければ差額が還付され、少なければ徴収されます。
確定申告は、所得税の精算という点では年末調整と同じなのですが、確定申告では年末調整では受けられない医療費控除などを受けることができるので、会社員であっても無関係なものではありません。
「扶養内」でも年収103万円超には所得税がかかっている
「扶養内」であれば税金はかからないと思っていないでしょうか。実は、所得税がかからずに済むのは年収103万円までです。103万円超から130万円までの年収にかかっている所得税を計算してみましょう。
【年収110万円】
(110万円-給与所得控除55万円-基礎控除48万円)×5%=3500円
【年収120万円】
(120万円-給与所得控除55万円-基礎控除48万円)×5%=8500円
【年収130万円】
(130万円-給与所得控除55万円-基礎控除48万円)×5%=1万3500円
社会保険料の扶養でもいられるため、扶養内で働く年収として選択する人の多い130万円(年収130万円未満)では、所得税が1万3500円かかっているのです。
年収130万円の人が確定申告でお得になるケース
まずは、年の途中で退職して再就職していない人です。この場合、年末調整は原則として行われません。再就職して年末を迎えた場合には、再就職先で前職を含めた年末調整が行われますが、再就職しなかった場合には所得税の精算がなされないままとなってしまいます。
そのため確定申告を行うことで、源泉所得税が正しい所得税より多かった場合には還付を受けることができます。
次に、医療費控除が受けられる場合です。その年に自身や家族に多額の医療費がかかった場合には、確定申告で医療費控除を受けることができます。扶養内で働いている場合には、扶養している配偶者が申告したほうがお得になる可能性が高いです。
しかし、配偶者が入院して自身より年収が低くなった場合などには、自身で医療費控除を受けたほうがお得になる可能性が高いでしょう。
まとめ
扶養内で働いているからといって、確定申告と無縁になるわけではありません。年収130万円には1万円超の所得税がかかっていることを知り、退職や多額の医療費がかかった年があれば確定申告を検討しましょう。
出典
国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士