
今回は、会社員が確定申告をする必要がある場合と、申告することで受けられる控除の種類について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
会社員でも確定申告が必要なケースは?
年末調整では対応できない控除を受けるためには、会社員でも確定申告申告が必要となります。ここからは、会社員でも確定申告が必要となるケースについて解説します。
確定申告が必須のケース
確定申告が必須なのは、副業収入が年間20万円を超える場合です。これには、フリーランスとしての収入や、個人で行うコンサルティング業務などの収入が含まれます。また、株式投資による利益や、不動産収入がある場合も確定申告の対象となります。
確定申告をした方がよいケース
確定申告をした方がよいケースは以下の2つです。
・医療費が10万円を超えた場合
・住宅ローンを組んで家を購入した場合
年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告をすることで税金が戻ってくる可能性があります。対象となる医療費には、通院や入院の費用だけでなく、医師の処方箋による医薬品代も含まれます。加えて、通院のための交通費や、入院時の差額ベッド代なども医療費控除の対象です。
また、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合も、初年度のみ、住宅ローン控除を受けるために確定申告が必要です。この確定申告で住宅ローン控除の手続きを行えば、2年目以降は年末調整で控除を受けられます。この控除は最長10年間継続して受けられるため、節税効果が大きいといえるかもしれません。
また、控除を受けるための条件として、床面積が50平方メートル以上であることや、取得後6ヶ月以内に入居することなどが定められています。
受けられる控除の種類
ここからは、会社員でも受けられる控除の種類について解説します。
特定支出控除で職務関連費用を控除
特定支出控除は、給与所得者が仕事に関連して支出した費用が、給与所得控除額の2分の1を超える場合に、その超過分を所得から差し引ける制度です。対象となる支出は以下の通りです。
・通勤費
・職務上の旅費
・転居費
・研修費
・資格取得費
・帰宅旅費
・勤務必要経費(上限65万円)
これらの控除を受けるには、支出が職務遂行に直接必要であることを会社やキャリアコンサルタントに証明してもらい、確定申告時に証明書類と共に申告する必要があります。
寄附金控除
寄附金控除は、国や地方公共団体、特定公益増進法人などに「特定寄附金」を支出した場合に受けられる所得控除制度です。寄附金控除の対象となる特定寄附金には、ふるさと納税も含まれます。
ふるさと納税は地方自治体への寄附という形で行われ、寄附者は税制上の優遇措置を受けられるだけでなく、寄附先の自治体から返礼品を受け取ることができる制度です。寄附金控除を受けることで、所得税の還付を受けられます。ただし、控除額には上限があり、以下の2つのうち低い方から2000円を引いた額が上限となります。
・その年に支出した特定寄附金の合計額
・その年の総所得金額等の40%相当額
雑損控除
雑損控除とは、災害や盗難、横領によって資産に損害を受けた場合に、一定の金額を所得から控除できる制度です。この制度を利用することで、被害を受けた納税者の税負担を軽減できます。
対象となる資産は、資産の所有者が納税者本人か、生計を一にする配偶者、または総所得金額等が48万円以下の親族である必要があります。また、事業用の資産や生活に通常必要でない資産(30万円超の貴金属や別荘など)は対象外です。
年末調整では対応できない控除を受けるためには確定申告が必要
今回は会社員の確定申告について解説しました。副業収入が年間20万円を超える場合は、会社員でも確定申告が必須です。一方、医療費控除や住宅ローン控除の対象となる場合は、確定申告は義務ではありませんが、申告することで税金が還付される可能性があるため、実施することをオススメします。
また、特定支出控除、寄附金控除、雑損控除など、申告することで様々な控除を受けられる可能性があります。税金の還付を受けるためにも、自身の状況に応じて確定申告を検討するのがよいかもしれません。
出典
国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
国税庁 No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
国税庁 スマホで確定申告(副業編)
国税庁 給与所得者の特定支出控除
国税庁 No.1150一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)
国税庁 No.1110災害や盗難などで資産に損害を受けた時(雑損控除)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー