業績がよく「50万円」の決算賞与が支給されます。年収が650万円になったのですが、所得税はどれくらい変わりますか?
配信日: 2025.02.14

賞与にかかる税金が気になるときは、求め方を知っておくと比較しやすくなります。今回は、所得税額の決まり方や賞与の有無による所得税額の差などについてご紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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所得税額の決まり方
所得税は、その年の1月1日~12月31日までの収入に応じて決まる税金です。給料を得たことによる所得は「給与所得」と呼ばれ、国税庁によると以下の項目が含まれています。
・賃金
・賞与
・俸給
・現物給与など
国税庁からも示されているように、給与所得を計算するときはボーナスも含まれます。決算賞与などで今までよりも多くボーナスを受け取ると、給与所得全体の金額が上がるため、所得税額も高くなるでしょう。
所得税額を求める手順は以下の通りです。
(1)年収から給与所得控除額を引き、給与所得を求める
(2)給与所得から所得控除を引く
(3)(2)の金額に所得税率をかける
なお、所得税は所得金額が高くなるほど税率も高くなる税金です。そのため、ボーナスの金額が多ければ多いほど、税率も高くなる可能性があります。
また、所得控除は、社会保険料控除以外にも医療費控除や扶養控除などさまざまな種類がある控除です。適用される種類によっては、同じ年収でも税額が変わります。
賞与で収入が増えると社会保険料や所得税額はいくら変わる?
所得税額を求めるにあたって、条件は以下の通りです。
・年収600万円のときと決算賞与として50万円が加わったときで比較
・決算賞与以外のボーナスはない
・月収は毎月50万円として計算
・社会保険料控除と給与所得控除、基礎控除以外の控除はない
・東京都在住40代
・健康保険は全国健康保険協会に加入している
・保険料率は令和6年度のものとする
社会保険料額の違い
社会保険料は決められた給料から引かれるものと、賞与から引かれるもので計算する金額の基準が異なります。まず、年収600万円のときは月収50万円のため、各社会保険料額は以下の通りです。
・健康保険および介護保険料:年間34万7400円
・厚生年金保険料:年間54万9000円
・雇用保険料:年間3万6000円
・社会保険料合計:年間93万2400円
一方、賞与にかかる健康保険料と介護保険料、厚生年金保険料は賞与総額の1000円未満を切り捨てた金額(標準賞与額)に、また雇用保険料は賞与額に、それぞれの保険料率をかけて計算します。ただし、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料は会社と折半した金額です。賞与が50万円のときの社会保険料は以下の通りです。
・健康保険および介護保険料:2万8950円
・厚生年金保険料:4万5750円
・雇用保険料:3000円
・賞与の社会保険料合計:7万7700円
年収が650万円の社会保険料は、年収600万円のときと賞与50万円に対する社会保険料を合計した101万100円になります。
所得税額の違い
これらの情報を基に計算すると、年収600万円のときと年収650万円のときでは表1のようになります。
表1
年収600万円 | 年収650万円 | |
---|---|---|
給与所得控除 | 164万円 | 174万円 |
社会保険料控除 | 93万2400円 | 101万100円 |
所得税基礎控除 | 48万円 | |
所得税が課される金額 | 294万7000円 | 326万9000円 |
所得税率 | 10%、控除額9万7500円 | |
所得税額 | 19万7200円 | 22万9400円 |
※筆者作成
表1の結果によると、賞与の50万円の有無により所得税額には3万2200円の差が発生します。そのため、賞与が増えたことで所得税額も高くなったと感じる可能性もあるでしょう。
賞与が50万円増えると所得税は約3万円高くなる可能性がある
賞与も給与所得のひとつとして所得税の課税対象です。賞与を多く受け取ると、所得税額も増加します。また、賞与には社会保険料もかかるので、引かれる金額が多いと感じるケースもあるでしょう。
今回のケースでは、賞与50万円の有無で所得税は3万2200円、社会保険料は7万7700円の差があります。賞与により支払う金額がどれくらい増えるか気になる方は、計算方法を基に自分で試算してみましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1400 給与所得
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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