昨年の医療費は「12万円」でしたが、医療費控除は利用した方がよいでしょうか?あまり節税できないなら手続きが面倒に感じます…

配信日: 2025.02.15 更新日: 2025.03.05

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昨年の医療費は「12万円」でしたが、医療費控除は利用した方がよいでしょうか?あまり節税できないなら手続きが面倒に感じます…
医療費控除は、1年で支払った医療費が一定額を超えていれば利用できる所得控除制度です。所得控除額が多いほど税金が安くなりますが、人によっては医療費控除で節税効果があまりないならやめようか悩んでいる方もいるでしょう。
 
今回は、医療費控除はいくらから利用できるのか、また節税効果や医療費控除の代わりに利用できる制度などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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医療費控除はいくらから利用できる?

その年の総所得金額等が200万円以上の場合、医療費控除で所得から差し引けるのは「1年間で実際に治療や診療のために支払った金額の合計-保険金などから補てんされた金額-10万円」で求められます。つまり、保険金を利用していなければ、10万円を超えていれば控除の対象です。
 
しかし、保険金を利用した場合は、保険金の金額に応じて医療費控除の対象となる金額が変動します。保険を利用して治療や診療を受けたときは、医療費控除の申請前に控除の対象になるのかを一度計算してみるとよいでしょう。
 

医療費が12万円だといくら節税できる?

医療費が同じ12万円でも、年収や適用されるほかの控除などによって、節税できる金額は異なります。
 
今回は、以下の条件で医療費控除を利用したときの税額の差を求めましょう。
 

・医療費は12万円で、保険金は受け取っていないものとする
・東京都新宿区在住の40代
・年収は600万円
・標準報酬月額は50万円
・ボーナスは考慮しない
・適用する控除は医療費控除、給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除のみ
・給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除は令和6年度のものを使用
・全国健康保険協会に加入

 
年収600万円のとき、給与所得控除は164万円です。また、今回の条件で適用される所得控除額は以下の通りです。
 

・医療費控除額:2万円
・社会保険料控除額:93万2400円
・所得税基礎控除額:48万円
・住民税基礎控除額:43万円

 
条件を基にしたとき、医療費控除の有無で税額は表1のように変動します。
 
表1

医療費控除がない 2万円の医療費控除がある
所得税の課税所得
(1000円未満切り捨て)
294万7000円 292万7000円
所得税額 19万7200円 19万5200円
住民税の課税所得 299万7600円 297万7600円
住民税額 30万4760円 30万2760円
所得税と住民税の合計額 50万1960円 49万7960円

※筆者作成
 
今回の条件で12万円の医療費があった場合だと、医療費控除を使用した場合と使用しなかったときで税額に合計4000円の差があります。
 

人によってはセルフメディケーション税制の方がよい場合も

セルフメディケーション税制は、定期健康診断など健康維持や向上、病気の予防のため特定の取り組みを行う個人が、1年のうちに1万2000円を超える指定医薬品を購入した場合に、超えた分を所得から控除できる所得控除制度です。厚生労働省によれば最大8万8000円まで控除できます。ただし、医療費控除との併用はできません。
 
例えば、がん検診を受けた年に指定医薬品を12万円購入していたとしましょう。医療費控除では控除額が2万円ですが、セルフメディケーション税制だと最大8万8000円が控除されます。
 
控除額が大きいと節税効果も高くなるため、医薬品の購入によって医療費が12万円になった場合は、セルフメディケーション税制を利用する方がよいでしょう。
 

年収600万円で12万円の医療費なら4000円の節税効果が期待できる

医療費控除は、1年間で支払った医療費が一定額を超えた際に所得から控除できる制度です。保険金を使用していなければ、10万円を超えた金額に対して適用されます。もし、年収600万円の場合、医療費が12万円で医療費控除を選択すると、2万円が控除され、税額が合計4000円安くなる可能性があります。
 
ただし、医療費を支払った年に特定の検診を受けるなどしており、医療費が指定医薬品の購入だった場合は、セルフメディケーション税制にした方が節税効果は大きくなるケースもあるでしょう。
 

出典

厚生労働省 セルフメディケーション(自主服薬)推進のためのスイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の創設
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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