「台風」で自宅が壊れたけど、補助はない? 「確定申告」で損害を取り戻せる「雑損控除』の条件とは

配信日: 2025.02.18

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「台風」で自宅が壊れたけど、補助はない? 「確定申告」で損害を取り戻せる「雑損控除』の条件とは
会社員が確定申告でしか申告できない所得控除として、「雑損控除」が挙げられます。
 
雑損控除とは、個人が火災・台風などの災害や泥棒・空き巣などの盗難、横領などの不慮の事態で資産に損害を受けた場合、税負担を軽減するための控除制度です。
 
本記事では、雑損控除の概要と確定申告に当たっての注意点を説明していきます。
浦上登

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。

現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。

ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。

FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。

2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。

現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。

早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。

サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow

雑損控除とは?

雑損控除とは、納税者本人または生計を一にする配偶者その他の親族が保有する住宅、家財、現金等(生活に通常必要でないものは対象外)について、災害や盗難、横領などの不慮の事態で損害を受けた場合、税負担を軽減するための控除制度です。雑損控除を受けるための概要と手続き方法、また具体的にどのような場合に適用されるかについて説明します。
 

1. 雑損控除の概要

雑損控除は、次のようなケースで適用されます。


・災害(地震、台風、火災、豪雪など)による損害
・盗難による損失(泥棒による盗難被害など)
・横領(他人による資産の無断取得や詐欺による金銭損害など)

対象となるのは、生活に必要な資産の損害に限られます。例えば、自宅や家財道具、衣類などは該当しますが、株式や宝石などの生活に直接関係ない資産は対象外です。
 

2. 控除額の計算

控除額は、以下のいずれか多いほうの金額です。


(1)(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
(2)(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

3. 雑損控除の手続き方法

雑損控除を受けるためには、確定申告が必要です。手続きの流れは以下のとおりです。
 

(1)損害額の計算

被害に遭った資産の損害額を計算します。保険などで補てんされる金額がある場合は、その金額を差し引いたものが損失額となります。
 

(2)確定申告書の作成

雑損控除を記入するために、確定申告書Bを用意します。税務署のe-Taxを利用する場合も、画面に沿って控除金額を入力します。
 

(3)雑損控除の明細書の作成

確定申告には、「雑損控除に関する明細書」が必要です。この書類に損害の詳細(日時、場所、原因、損害の種類と金額)を記入し、保険会社の補てん金額がある場合はそれも記載します。
 

(4)証明書類の準備

災害であれば被害状況の写真や公的機関(消防署など)からの被害証明書、盗難の場合は警察に被害届を出した際の受理番号、保険金の支払い明細などが証明書類として必要です。
 

(5)確定申告書の提出

完成した申告書を税務署へ提出します。申告は通常、翌年の2月16日~3月15日(令和6年分は令和7年2月17日~3月17日)の間に行います。
 

4. 個人に適用される具体例

雑損控除は、以下のような個人のケースで適用されることがあります。
 
•自然災害で自宅が被災
地震や台風、豪雪などで自宅や家財道具に損害が発生した場合、補償を受けていない損害部分に対して適用されます。
 
•泥棒に現金や貴金属を盗まれた
泥棒に入られ、生活に必要な資産(現金や必要な家財道具)を盗まれた場合、その損失が雑損控除の対象になります。高価な装飾品などは対象外ですが、生活に直接必要なものは適用されます。
 
•詐欺や横領による損失
他人に現金や資産をだまし取られた場合も、生活に必要なものが対象となり、雑損控除が適用されることがあります。
 

5. 注意点

雑損控除を受けるためには、被害があった事実を証明する必要があるため、警察への届け出や証明書類の準備が重要です。また、雑損控除の対象外となるケースもあるため、疑問がある場合は税務署に確認する必要があります。
 

まとめ

ここまで、雑損控除と確定申告について述べてきました。納税義務と税金の還付請求は、年末調整を行うことでかなりの部分が満たされますが、年末調整では不十分な点もあります。
 
そのため、年末調整と確定申告を必要に応じて組み合わせて申告をすることが、有効な節税につながることになります。
 

出典

国税庁 No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)
国税庁 令和6年分 確定申告特集
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

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