早生まれの子どもは「扶養控除」が1年少ないと言われました。同じ学年でも、なぜ少なくなるのでしょうか?
扶養控除の対象になるかを理解するには、扶養控除の基準を知っておきましょう。今回は、扶養控除の条件や、なぜ早生まれが損をするといわれているかなどについてご紹介します。
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扶養控除はどう決まる?
まず、扶養親族とみなされるのは以下の条件にすべて当てはまる方です。
・配偶者以外の親族か里子、もしくは自治体から養護を任された高齢者
・本人と生計を同じくしている
・年間の合計所得が48万円以下(給与収入なら103万円以下)
・青色申告者の事業専従者として1年間で一度も給与を受け取っていない、もしくは白色申告者の事業専従者でない
この扶養親族のうち、条件に当てはまっていると扶養控除を受けられます。控除対象扶養親族は、12月31日時点で「16~30歳未満」「70歳以上」であることが基本的な条件です。控除対象扶養親族に当てはまると、納税者は38万円の控除を受けられます。
なお、30~70歳未満の方であっても、留学中の方や障がいのある方、納税者から38万円以上の教育費や生活費を受け取っている方は、控除対象扶養親族です。
さらに、扶養親族のうち特定扶養親族に当てはまると、控除額は63万円になります。特定扶養親族の条件は、12月31日時点で19歳以上23歳未満であることです。
なぜ早生まれは損をする?
日本では、学校や仕事は4月から3月の「年度」と呼ばれる基準と、1月から12月の暦上の年の2種類が混在しています。暦では1月から始まるものの、入学式や入社の時期は4月からという構造が、損をするとされる理由です。
例えば、控除対象扶養親族は12月31日時点で16歳であることが条件のため、早生まれの方は高校1年生のときに控除対象扶養親族にはなれません。また、特定扶養親族の条件は19歳以上23歳未満のため、高校を卒業してすぐに大学へ進学すると、2年生のときから適用されます。
もし高校から大学まで留年や浪人もなく、4年制の大学を卒業後すぐに就職して扶養から外れるとすると、控除が受けられる年齢は以下の通りです。(年齢は、その学年のときの12月31日時点のもの)
・16歳(高校2年生)~18歳(大学1年生):控除額38万円
・19歳(大学2年生)~21歳(大学4年生):控除額63万円
・16歳(高校1年生)~18歳(高校3年生):控除額38万円
・19歳(大学1年生)~22歳(大学4年生):控除額63万円
上記からも分かるように、早生まれでない方は扶養控除が大学在学中に完結しますが、早生まれの方は特定扶養親族の最後の1年(22歳)が社会人1年目と同じです。扶養親族であるためには給与収入で103万円以下の必要がありますが、就職をした場合は超える可能性が考えられるでしょう。
つまり、扶養親族としての期間が早生まれでない方よりも1年短くなるため、扶養控除額が1年分少なくなり、損をするといわれています。
ただし、早生まれでない方でも短期大学や高校卒業後にすぐ働き始めたり、アルバイトだけで自立できるほど稼いでいたりする方は、23歳に達していなくても扶養控除から外れる可能性があります。なるべく親の扶養控除範囲で働きたい場合は、注意しましょう。
扶養控除は「12月31日時点の年齢」を基準にしているため1年分の差が生じる
扶養控除は、納税者本人に子どもや両親で条件に当てはまる親族がいれば、適用される所得控除です。条件のなかには年齢制限も含まれていますが、扶養控除は暦上の年である1月から12月を基準にしています。
そのため、早生まれの方は12月31日時点で条件と示されている年齢に達するタイミングが遅くなるでしょう。さらに、特定扶養親族は23歳未満が対象ですが、早生まれだと22歳になった時点で社会人になっている可能性も少なくありません。
社会人になると扶養親族の条件を満たしにくくなり、扶養控除が1年分少なくなるため、早生まれでない方よりも損をするといわれています。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
