去年夫が定年退職をして年金生活になりました。「月20万円」の年金では「ふるさと納税」をしても意味ないでしょうか?

配信日: 2025.02.19

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去年夫が定年退職をして年金生活になりました。「月20万円」の年金では「ふるさと納税」をしても意味ないでしょうか?
ふるさと納税で自分の選んだ自治体へ寄付をすると、自己負担額を除いた上限額までの範囲で、所得税と住民税の税額控除を受けられます。しかし、年金収入のみといった、収入が働いていたときよりも少ない場合は、税額控除を受けられるのか気になる方もいるでしょう。
 
ここでは、ワンストップ特例制度を利用すると仮定し、住民税からの税額控除のみを対象として計算します。
 
税額控除される上限の求め方を知っておくと、年金収入のみでいくらまでなら寄付したときに全額控除してもらえるのかの目安を自分で調べられます。今回は、ふるさと納税の控除額の決まり方や、上限額の求め方などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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ふるさと納税の控除額はどうやって決まる?

ふるさと納税は、所得や世帯の状況によって決められた上限までの範囲なら、任意の自治体へ寄付をすることで自己負担額2000円を除いた全額が控除の対象となり、さらに返礼品を受け取れる制度です。総務省によると、ふるさと納税のうち、所得税の控除額は以下の式で求められます。
 
・(寄付額-2000円)×所得税の税率(上限は総所得金額等の40%)
 
また、住民税の控除額は基本分と特例分に分かれており、計算方法は以下の通りです。
 
・基本分=(寄付額-2000円)×10%(上限は総所得金額等の30%)
・特例分=(寄付額-2000円)×(90%-所得税の税率)(上限は住民税所得割額の20%)

 
なお、令和19年中の寄付までは、所得税率に復興特別所得税2.1%も加えられます。
 
人によっては所得税額や住民税額の求め方が分からない方もいるでしょう。自治体によっては計算シミュレーションを提供しているところもあるので、活用することがおすすめです。
 
シミュレーションが利用できない場合でも、上限額を求められる計算式を公開している自治体もあります。東京都渋谷区によると、上限額の求め方は「住民税所得割額×20%÷(90%-所得税の税率×1.021)+2000円」です。
 
ただし、「住民税所得割額」はその年の所得から算出するため、寄付する時点では原則確定できない点には注意しましょう。さらに、住民税の計算方法は基本的には統一されているものの、自治体によって増減措置を取ることもできるため、渋谷区に居住していない場合はあくまで目安としてください。
 

夫が月20万円の年金を受け取るときの上限額は?

ふるさと納税の控除上限額を知るためには、住民税の所得割額と所得税の税率を求める必要があります。ただし、年金収入が月20万円と分かっていても、お住まいの地域やほかに適用される控除によって住民税の所得割額や所得税の税率が異なります。
 
今回は、以下の条件で上限額を求めましょう。
 

・夫婦ともに収入は年金のみ
・所得控除は基礎控除、社会保険料控除のみ
・東京都新宿区在住65歳で世帯主は夫
・社会保険は国民健康保険および介護保険
・社会保険料や控除額は令和6年度のもの
・妻も国民健康保険に加入している(年金額は夫と同じと仮定)

 
条件を基にしたときの各控除額や税額などは表1の通りです。
 
表1

年金 240万円
公的年金等に係る雑所得額 130万円
国民健康保険料(年額)(世帯単位) 33万1126円
介護保険料(年額) 9万5040円
社会保険料控除額 42万6166円
所得税基礎控除 48万円
控除後の所得額(課税所得金額)(1000円未満切り捨て) 39万3000円
所得税率 5%
所得税額 1万9650円
住民税基礎控除 43万円
控除後の所得額(課税所得金額) 44万3834円
住民税率 10%(所得割)+5000円(均等割)
住民税額 約4万9383円(うち所得割額約4万4383円)

※筆者作成
 
表1で求めた数値をふるさと納税の上限額を求める式に当てはめると「4万4383円×20%÷(90%-5%×1.021)+2000円」です。計算すると、上限額は約1万2455円になります。
 
今回の条件で月20万円の年金収入がある場合、夫が1万2455円以内でふるさと納税による寄付をすれば、税額控除の効果があるといえるでしょう。
 
なお、配偶者控除や扶養控除が適用されたり、年金を受け取りながら働いていたりすると上限額も変動します。今回の金額は、あくまでも参考としてください。
 

年金月20万円でも上限額以内なら全額の税額控除を受けられる

ふるさと納税は、上限額までであれば寄付した金額のうち自己負担額の2000円を超える部分に対して全額の税額控除を受けられる制度です。所得税と住民税で、それぞれ控除額の求め方が異なります。
 
今回試算した条件では、月20万円の年金を受け取っている場合に1万2455円までの範囲であれば控除が全額適用される目安となります。ただし、条件によっては上限額が少なくなる可能性もあるため、注意しましょう。
 

出典

総務省 ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税のしくみ 税金の控除について
渋谷区 ふるさと納税の寄附金控除額の計算について(2ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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