夫は年収600万円、妻は年収400万円の会社員共働き夫婦です。医療費控除などの確定申告はどちらが行うのがお得ですか?

配信日: 2025.02.23

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夫は年収600万円、妻は年収400万円の会社員共働き夫婦です。医療費控除などの確定申告はどちらが行うのがお得ですか?
会社員共働きの夫婦、夫は年収600万円、妻は年収400万円です。医療費控除などの確定申告を行う場合、どちらが行うのがお得なのでしょうか?
 
本記事で、医療費控除の基本とともに気を付けておきたいポイントとあわせて、FPである筆者が解説します。
宮野真弓

執筆者:宮野真弓(みやのまゆみ)

FPオフィスみのりあ代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

子育てファミリーや妊活カップルのライフプランニングを中心に活動しています。
結婚や妊活、出産、住宅購入など人生のターニングポイントにおけるお悩みに対して、お金の専門家としての知識だけでなく、不妊治療、育児、転職、起業など、自身のさまざまな経験を活かし、アドバイスさせていただきます。
https://fpoffice-minoria.jimdo.com/

医療費控除とは

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの1年間で支払った医療費が10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人は「総所得金額等×5%」)を超える場合に、確定申告により税金が減額される制度のことです。
 
医療費は家族分も合算可能で、保険診療での検査費や治療費、通院費、病院で処方された薬代のほか、市販薬の費用なども対象です。また、妊婦健診や分娩(ぶんべん)、不妊治療、レーシック、子どもの歯列矯正などの費用は保険適用外であっても対象となります。
 
一方、予防接種や人間ドック(疾患が見つからなかった場合)の費用、自己都合で利用した差額ベッド代、美容整形の費用やサプリメント代などは医療費控除の対象外です。医療費控除の金額は、以下の計算式で計算されます。
 

▼計算式

医療費控除額=(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円(※)

※その年の総所得金額等が200万円未満の人は「総所得金額等×5%」

この金額がそのまま減額されるわけではなく、医療費控除額に税率をかけた金額が減額されます。所得税は所得が多いほど税率が高くなるため、一般的には所得の多い人が確定申告したほうがお得になります(住民税は一律10%)。
 

どちらが申告するべきか?

共働き家庭の場合、医療費控除は一般的には所得の多い人が確定申告したほうが税額の軽減効果は大きくなります。しかし、注意しなければいけないケースもあります。
 

(1)夫婦のどちらかの総所得金額等が200万円未満の場合

総所得金額等が200万円未満の場合、医療費が10万円以下でも医療費控除を受けられます。また、夫婦ともに総所得金額等が200万円未満の場合は、所得の低い人が医療費控除を受けたほうがお得になります。
 

(2)住宅ローン控除との併用

医療費控除と住宅ローン控除は、併用できます。住宅ローン控除は住宅の持分比率によって夫婦のどちらがどれだけ適用されるのかが決まりますが、医療費控除は選ぶことができます。多くの場合は、所得の多い人が医療費控除の適用を受けたほうがお得になりますが、一部例外があります。
 
所得に対して住宅ローンの金額が大きく、所得税も住民税も制限額まで控除を受けているような場合には、住宅ローン控除を受けていない人が医療費控除をしたほうが効果は大きくなる場合があります。住宅ローンの借入残高が大きい場合には、夫婦のどちらが医療費控除をしたほうがいいのかよく確認しましょう。
 

(3)ふるさと納税との併用

医療費控除とふるさと納税を併用する場合、医療費控除は所得の多い人が手続きをしたほうがメリットは大きくなります。ただし、注意点が2つあります。
 
1つ目は、ワンストップ特例制度が使えない点です。医療費控除は必ず確定申告が必要なので、ふるさと納税もワンストップ特例制度ではなく確定申告を選択して手続きをする必要があります。
 
2つ目は、ふるさと納税の控除限度額が変わる点です。医療費控除をするとふるさと納税の控除限度額が減りますので、事前にシミュレーターなどを使って確認しておきましょう。
 

まとめ

共働き夫婦の医療費控除は、一般的には所得の多い人が確定申告したほうが、税額の軽減効果は大きくなります。ただし、注意すべきケースもありますので、よく確認しておきましょう。
 
医療費控除は、5年前までさかのぼって受けることが可能です。申告し忘れているものがないか一度確認してみてはいかがでしょうか。
 

出典

国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 令和6年分 確定申告特集
 
執筆者:宮野真弓
FPオフィスみのりあ代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

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