病気の母の「治療費」を払っています。母は年金暮らしで「同居していない」のですが、私の確定申告で「医療費控除」できますか?
配信日: 2025.02.24


執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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医療費控除の基本条件について確認
医療費控除が認められるためには、
・ 納税者本人または生計を一にする親族 のために支払った医療費であること
・ その年の1月1日~12月31日に支払った医療費 であること
・ 10万円または所得の5%を超える部分 が控除対象
が満たされていることが必要です。このケースでは お母さまとAさんが『生計を一にしている』とみなされるかどうか です。
『生計を一にしている』とは
では、『生計を一にしている』としてみなされるケースというのは、具体的にどういう場合でしょうか。
・仕送りをしている(生活費や医療費を継続的に送金)
・医療費をAさんが直接支払っている
・実家と頻繁に経済的なやり取りがある
という事実が必要です。Aさんが お母さまの治療費を継続的に負担している なら、たとえ別居していても 『生計を一にする』とみなされる可能性が高いです。
ただ、お母さまがご自身の年金とお父さまの退職金で生計を立てている場合、Aさんの経済的支援が生活費の主な部分を占めていない場合は、生計を一にしていると認められない可能性があります。判断のポイントとしては以下の点が重要になります。
・Aさんが定期的に仕送りをしていないと、生計を一にしているとはいえない可能性があります。
・Aさんによる医療費の負担が、一時的である場合には、生計を一にしているとは認められない可能性があります。
・お母さまがご自身の年金とお父さまの退職金で生活している場合は、Aさんが支払った医療費は控除の対象外となる可能性が高くなります。
医療費控除を適用するためには
医療費控除の適用を検討される場合は、以下のことを行うとよいでしょう。
(1) お母さまの生活費を一部負担し、継続的に送金します。毎月、一定額を仕送りすると 『生計を一にする』と認められやすくなります。その際、送金の証拠(振込履歴)などを残しておきましょう。
(2) 家計の分担を明確にしておきましょう。Aさんが負担している費用の割合を明確にしておけば、将来的に控除の適用を受けられる可能性が高まります。負担した医療費の領収書は5年間の保管が規定されています。支払いの記録はわかるように残しておきましょう。
出典
国税庁 令和6年分 確定申告特集 医療費控除を受ける方へ
国税庁 同居していない母親の医療費を子供が負担した場合
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者