看護師でシングルマザーをしています。年収650万円だと「ひとり親控除」の対象外になってしまいますか?
配信日: 2025.03.01

この記事では、年収650万円のシングルマザーがひとり親控除の対象となるのか、また、控除が適用されない場合の税金対策について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ひとり親控除の適用条件
ひとり親控除の適用を受けるためには、次の条件を満たす必要があります。
●婚姻していない、もしくは配偶者の生死が不明であること
事実婚の状態は控除の適用対象外となります。
●生計を一にする子どもがいること
ここでいう「子」とは、年間の総所得金額が48万円以下で、他の人(例えば祖父母)の扶養になっていない子を指します。
●合計所得金額が500万円以下であること
この合計所得金額は、給与収入から各種控除(給与所得控除など)を差し引いたあとの金額となります。
年収650万円の場合は対象外となる可能性がある
看護師として働くシングルマザーの年収(給与所得)が650万円の場合、ひとり親控除の対象外となる可能性があります。給与所得者では、課税対象となる合計所得金額は、以下のように定められています。
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
---|---|
162万5000円以下 | 55万円 |
162万円超180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 |
180万円超360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 |
360万円超660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 |
660万円超850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円(上限) |
出典:国税庁 No.1410 給与所得控除より筆者作成
年収650万円では、給与所得控除および課税所得金額は以下のようになります。
給与所得控除:650万円×20%+44万円=174万円
課税所得金額650万円-174万円=476万
以上から、一見すると課税所得金額は500万円以下なので、ひとり親控除が適用されるように思えます。
しかし、これは給与収入のみを考慮した金額です。実際には、ほかの所得(副業収入や不動産収入など)があると、合計所得金額に加算されるので、500万円を超える可能性があります。
また、医療従事者の方は夜勤手当や特別手当があることも多く、給与収入が増えるケースも考えられるでしょう。そのため、源泉徴収票を確認したうえで、正確な所得金額を把握することが重要です。
ひとり親控除が適用されない場合の税金対策
ひとり親控除の対象外となってしまった場合、どのような税金対策があるのでしょうか。いくつかの方法をご紹介します。
IDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する
IDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛け金全額が所得控除の対象です。そのため、所得税・住民税の負担を軽減できます。
ふるさと納税を利用する
ふるさと納税は、寄付した金額のうち2000円を超える部分が所得税・住民税から控除されます。税額の負担軽減につながるだけでなく、実質負担額2000円でさまざまな返礼品を受け取れるメリットもあります。
医療費控除を申請する
自身や子どもの医療費が年間10万円(もしくは総所得金額の5%)を超えた場合、超過分を所得から控除できます。保険適用外の診療費や薬代、通院のための交通費なども対象です。そのため、多額の医療費がかかった年には、領収書を保管したうえで確定申告により医療費控除を受けることをおすすめします。
まとめ
年収650万円の看護師の場合、給与所得以外にも収入があると、ひとり親控除の「合計所得金額500万円以下」という条件を満たせず、控除を受けられない可能性があります。
しかし、ひとり親控除が受けられなくても、iDeCoやふるさと納税などの制度を活用すれば、税金の負担を軽減することが可能です。そこで、自身の収入や所得控除の状況を確認したうえで、さまざまな制度を活用すると良いでしょう。
出典
国税庁 No.1171 ひとり親控除
国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー