定年後は毎月「年金11万円」と「給与15万円」の収入が! 定年後でも「確定申告」は必要?

配信日: 2025.02.28

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定年後は毎月「年金11万円」と「給与15万円」の収入が! 定年後でも「確定申告」は必要?
昨今は定年後も働く人が増えています。そのため、定年後に年金と給与を受け取っているという人も多いのではないでしょうか。実際、内閣府が公表している「令和6年版高齢社会白書」によると、65歳~69歳の就業率は52.0%となっています。
 
年金受給者は、たいていの場合は確定申告が不要です。しかし、年金と給与を同時に受け取ると、確定申告は必要になるのでしょうか。
 
本記事では、どのような年金受給者が確定申告をする必要があるのか紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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年金受給者で確定申告が必要な場合とは?

年金受給者で確定申告が必要な場合とは、どのような場合でしょうか。
 
実は、公的年金受給者には確定申告不要制度が設けられているため、以下の条件を全て満たす年金受給者は確定申告をする必要はありません。
 

・公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下
・公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる
・公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下

 
つまり、「公的年金等の収入金額の合計額が400万円以上」や「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以上」の場合には、年金受給者でも確定申告が必要になるということです。
 
なお、主な「公的年金等」は以下の通りです。
 

・国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの規定による年金(国民年金、厚生年金・共済年金)
・過去の勤務により会社などから支払われる年金(企業年金)
・確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金(確定給付年金)

 
また、公的年金等以外の所得金額とは、給与所得や配当所得(株式の配当金や投資信託の分配金など)、一時所得(保険の満期返戻金など)などが該当します。
 
具体的な例を用いて、年金受給者で確定申告が必要になる場合をご紹介します。
 

ケース1:「公的年金等の収入金額の合計額が400万円以上」かつ「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下」

はじめに、毎月「年金35万円」と「給与1万円」の収入を得ている年金受給者の場合について考えてみましょう。
 
このケースでは、給与は年間で「12万円」であり、年金以外の所得金額は20万円以下となります。年金は年間で「420万円」であり、年金の収入金額は400万円以上です。
 
したがって、ケース1は「公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下」の条件を満たしていないため、確定申告が必要となります。
 

ケース2:「公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下」かつ「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以上」

次に、毎月「年金20万円」と「給与3万円」の収入を得ている年金受給者の場合について考えてみましょう。
 
このケースでは、年金は年間で「240万円」であり、年金の収入金額は400万円以下です。給与は年間で「36万円」であり、年金以外の所得金額は20万円以上となります。
 
したがって、ケース2は「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下」の条件を満たしていないため、確定申告が必要です。
 

ケース3:「公的年金等の収入金額の合計額が400万円以上」かつ「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以上」

最後に、毎月「年金35万円」と「給与3万円」の収入を得ている年金受給者の場合について考えてみましょう。
 
このケースでは、年金は年間で「420万円」であり、年金の収入金額は400万円以上となります。給与は年間で「36万円」であり、年金以外の所得金額は20万円以上です。
 
したがって、ケース3は「公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下」と「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下」の条件を両方満たしていないため、確定申告が必要ということになります。
 

「年金11万円」と「給与15万円」の収入がある年金受給者は確定申告が必要?

それでは、毎月「年金11万円」と「給与15万円」の収入がある場合に確定申告が必要か考えてみましょう。
 
このケースでは、年金が年間で「132万円」、給与が年間で「180万円」となります。したがって、「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下」を満たしていないため、確定申告が必要です。
 

収入金額を計算して、確定申告が必要か確認しましょう

本記事では、年金受給者で確定申告が必要になる場合を紹介しました。自身の収入金額を計算して確定申告が必要か確認し、必要な場合には速やかに確定申告を行えるように準備を進めましょう。
 

出典

国税庁 公的年金等を受給されている方へ
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
内閣府 令和6年版高齢社会白書 【第1節】高齢化の状況及び【第2節】高齢期の暮らしの動向
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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