医療費が「年10万円」以下だったけど、「確定申告」できる場合もあるの? 適用されるケースを解説
配信日: 2025.02.28

年間の医療費が10万円以上の場合に医療費控除の申請を行う人が多いですが、10万円未満でも医療費控除が適用される場合があります。
本記事では、年間の医療費が10万円未満でも医療費控除が適用される場合について紹介します。医療費が10万円未満で医療費控除の利用を検討している人は、本記事を参考にしてください。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
医療費控除とは?
「医療費控除」とは所得控除の一種であり、確定申告の際に申請すると控除を受けることができる制度です。1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が対象で、医療費控除額は以下の式で計算されます。
医療費控除額=医療費-保険金などで補填される金額-10万円(総所得金額が200万円未満の場合は、総所得金額×5%)
「生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費」も含めることが可能で、控除額の上限は毎年200万円です。医療費控除は年末調整の対象外であるため、確定申告を行う必要があります。
年間の医療費が10万円未満で医療費控除が適用される場合とは?
医療費控除額は計算の際に10万円を差し引くため、年間の医療費が10万円以上でなければ医療費控除を受けることができないと認識している人は多いのではないでしょうか。しかし、「総所得金額が200万円未満」の場合には、年間の医療費が10万円未満でも医療費控除を受けることができます。
以下の図表1では、医療費控除が適用される医療費額を総所得金額ごとに記載しています。なお、計算を単純にするため、「保険金などで補填される金額」は考慮せずに計算しています。
図表1
総所得金額 | 医療費控除が適用される医療費額 |
---|---|
150万円 | 7万5000円以上 |
160万円 | 8万円以上 |
170万円 | 8万5000円以上 |
180万円 | 9万0000円以上 |
190万円 | 9万5000円以上 |
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除) を基に筆者作成
医療費控除の対象になる医療費とは?
医療費控除制度では、控除対象となる医療費が定められています。医療費控除の対象となる主な医療費は以下の通りです。
・医師、歯科医師の診療費または治療費
・治療または療養に必要な医薬品の購入費
・診療等を受けるための通院費(公共交通機関の交通費、緊急時のタクシー代など)
・健康診断、人間ドックの費用(異常が見つかり、治療を行った場合)
・海外旅行先で外国の医師に対して支払った医療費
・後発医薬品(ジェネリック医薬品)がある医薬品で、先発医薬品を希望した場合に支払う「特別の料金」
医療費控除の対象にならない医療費とは?
医療費控除の対象にならない主な医療費は以下の通りです。
・診療等を受けるために使用した自家用車のガソリン代、駐車場代
・病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入費(ビタミン剤など)
・健康診断、人間ドックの費用(異常が見つからなかった場合)
医療費控除の確定申告で注意すべきこととは?
医療費控除は年末調整に反映されないため、適用するには確定申告の必要があります。確定申告の際に注意すべきことは次の2点です。
1.「医療費控除の明細書」の添付
確定申告の際に医療費控除を申請する場合は、「医療費控除の明細書」を作成して確定申告書に添付する必要があります。医療費控除の明細書は国税庁のサイトから入手が可能です。
2.医療費の領収書の保管
医療費控除を申請する場合、医療費の領収書を添付または提示する必要はありません。しかし、明細書の記入内容の確認のために税務署が提示または提出を求める場合があるため、医療費の領収書は「確定申告期限等から5年間」保管しておく必要があります。
医療費控除の制度を理解して、正しく活用しましょう
本記事では、医療費控除の制度概要、年間の医療費が10万円未満でも医療費控除が適用される場合について紹介しました。制度を正しく理解しておくことで、適切に制度を利用することができます。医療費控除を申請する場合は、本記事を参考にしてください。
出典
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー