年金受給者でも「確定申告」したほうが得? 受給額が「年400万円」以下でも必要なの?
配信日: 2025.03.12 更新日: 2025.07.02

しかし、場合によっては確定申告をすることにより、還付を受けられるケースがあります。
そこで今回は、公的年金の確定申告不要制度や制度対象者でも確定申告が必要な方などを紹介します。所得控除を受けられる方は、確定申告不要制度に該当したとしても、必要に応じて確定申告しましょう。

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公的年金の確定申告不要制度とは
政府広報オンラインによると、以下に該当する方は、確定申告不要制度により、確定申告を行う必要がないとされています。
・公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下である
・公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる
・公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である
公的年金からは、あらかじめ税金が源泉徴収されています。そのため、年金収入が400万円以下で他に所得がない場合は、納税が完了しているため確定申告が不要です。
しかし、公的年金以外の所得が20万円を超える場合、確定申告をしなければなりません。昨今は65歳以上でも働く方が増えているため、確定申告が必要な年金受給者の方も増えていると考えられます。
なお、年金と給与を得ている方が確定申告をする場合、公的年金等の源泉徴収票や給与所得の源泉徴収票が必要です。公的年金等の源泉徴収票は日本年金機構から発送されているため、紛失しないように気をつけましょう。
制度対象者でも確定申告が必要な方
確定申告不要制度の要件に該当する方でも、確定申告を通じて還付を受けられる可能性があります。公的年金から源泉徴収される税額には、すべての所得控除が含まれていないためです。
具体的には、以下のような事情を抱えている方であれば、確定申告を通じて還付を受けられます。
・住宅ローン控除を受ける場合
・医療費控除・セルフメディケーション税制を受ける場合
・雑損控除を受ける場合
例えば、年間で医療費を40万円支払った場合、どの程度の還付を受けられるかシミュレーションしてみましょう。
医療費控除の金額は「実際に支払った医療費の合計額-10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%の金額)」です。
年金の雑所得が120万円と仮定した場合、受けられる医療費控除は「40万円- (120万円×5%)=34万円」です。34万円に対して、適用される税率を乗じれば還付額を計算できます。
今回のケースでは適用される税率は5%となるため、「34万円×5%=1万7000円」が還付されます(特別復興所得税は考慮せず)。
なお、還付を受けられる場合でも、必ず確定申告をしなければならないわけではありません。確定申告の手間暇と受けられる還付額を鑑みて、「べつに還付を受けられなくてもよい」と考えるのであれば、確定申告は不要です。
まとめ
確定申告不要制度により、年金以外に収入がない方は、基本的に確定申告が不要と考えて問題ありません。
なお、確定申告が不要な方も、状況次第では確定申告を通じて還付を受けられる可能性があります。ただし、還付申告に関しては強制ではないため、受けられる還付額と確定申告の手間暇を比較したうえで判断しましょう。
出典
政府広報オンライン ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度
国税庁 公的年金等を受給されている方へ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー