通勤手当に「課税」されるかもしれないという話を聞きました。そもそも通勤手当って非課税なんですか?

配信日: 2025.03.06

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通勤手当に「課税」されるかもしれないという話を聞きました。そもそも通勤手当って非課税なんですか?
通勤手当に税金がかかるのか、といった疑問を持ったことがある方もいるかもしれません。
 
現在、通勤手当は通勤手段に応じて定められた一定額まで非課税となっており、その範囲内であれば所得税はかかりません。しかし、将来的に非課税限度額が引き下げられたり撤廃されたりすると、通勤手当が所得税の課税対象となり、手取りが減る可能性があります。
 
そこで本記事では、通勤手段や移動距離に応じた非課税限度額や注意点について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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通勤手当は一定額まで非課税

通勤手当は一定額まで非課税となる仕組みで、通勤手段や移動距離に応じて上限が決まります。例えば、電車やバスなどの公共交通機関を利用して通勤する場合、1ヶ月あたり最大15万円までが非課税です。以前は10万円が上限でしたが、2016年の税制改正で15万円に引き上げられました。
 
つまり、1ヶ月の通勤手当が15万円以下の場合は非課税ですが、15万円を超える場合は、超過分が課税対象となります。非課税の範囲内であれば、通勤手当を受け取っても所得税や住民税はかかりません。
 

通勤手当の非課税ルール

通勤手当の非課税限度額は、電車・バス・マイカー・自転車など、通勤方法によって適用される非課税額が変わります。また、マイカーや自転車通勤の場合は、通勤距離も非課税限度額に影響する点に注意が必要です。
 
ここでは、電車・バス通勤とマイカー・自転車通勤、それぞれの非課税限度額について解説します。
 

公共交通機関(電車・バス)で通勤する場合

電車やバスを利用する場合の非課税限度額は、1ヶ月あたり15万円です。電車やバスなどの公共交通機関を利用する場合、「最も経済的かつ合理的な経路および方法」での通勤が非課税の対象となります。新幹線や特急電車で通勤する場合でも、条件を満たせば非課税の範囲内に含まれます。
 
ただし、グリーン席は「最も経済的かつ合理的な経路および方法」に該当しないため、非課税の通勤手当として認められません。
 

マイカー・自転車で通勤する場合

マイカーや自転車で通勤する場合の非課税限度額は、移動距離に応じて異なります。詳細は図表1のとおりです。
 
【図表1】

移動距離(片道) 非課税限度額
2キロメートル未満 全額非課税
2キロメートル以上10キロメートル未満 4200円
10キロメートル以上15キロメートル未満 7100円
15キロメートル以上25キロメートル未満 1万2900円
25キロメートル以上35キロメートル未満 1万8700円
35キロメートル以上45キロメートル未満 2万4400円
45キロメートル以上55キロメートル未満 2万8000円
55キロメートル以上 3万1600円

出典:国税庁「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」
 
移動距離が長くなるほど非課税限度額も上がり、最大で3万1600円まで適用されます。マイカーや自転車で通勤する場合は、通勤距離に応じた非課税限度額を事前に確認しておくと安心です。
 

通勤手当の注意点

通勤手当の注意点は、以下の3つです。

●通勤手段や移動距離によって非課税限度額が異なる
●非課税限度額を超えた分は課税対象になる
●通勤手当は社会保険料の計算に含まれる

通勤手段や移動距離の変化により、非課税限度額が変わるため、引っ越しなどの際は注意が必要です。限度額を超えた分は、所得税の課税対象となります。
 
また、非課税の範囲内であっても、通勤手当は社会保険料の算定対象となります。これは、標準報酬月額が通勤手当を含めた給与額をもとに算出されるためです。通勤手当に関する注意点を事前に理解しておくことで、トラブルが避けられ、通勤手当の管理がスムーズになります。
 

通勤手当は一定額まで非課税! 限度額の見直しに注意

現在、通勤手当は一定額まで非課税となっており、その範囲内であれば所得税はかかりません。非課税限度額は、電車やバスの場合は月15万円まで、マイカーや自転車の場合は移動距離によって異なります。ただし、限度額を超えた分は課税対象となるため注意が必要です。
 
今後、通勤手当の非課税限度額が見直される可能性があり、マイカーや自転車通勤者の通勤手当について、非課税限度額の拡大が検討されています。このような変更は手取りに影響する可能性があるため、最新の情報をしっかりと確認しましょう。
 

出典

国税庁 No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当
国税庁 No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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