年末調整の還付金が発生しないのはどんな時?年末調整の概要とあわせて解説
配信日: 2025.03.09


執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年末調整とは?
年末調整は、給与所得者(会社員や公務員など)が1年間に納めた所得税の過不足を調整する手続きです。日本の所得税は、毎月の給与から概算で源泉徴収されるため、年末調整を通じて正しい税額を再計算し、払い過ぎた税金があれば還付され、不足があれば追加で徴収される仕組みになっています。
年末調整は会社や雇用主が従業員に代わって行います。給与所得者が扶養控除、生命保険料控除、住宅ローン控除などの各種控除を申告し、最終的な所得税額を確定させる作業です。年末調整を適切に行うことで、払い過ぎた税金が還付されるというわけです。
年末調整の対象となるのは給与所得者のみであり、自営業者やフリーランス、副業をしている方は確定申告をする必要があります。年末調整では対応しきれない所得控除(医療費控除など)を受ける場合は会社員でも確定申告が必要です。
年末調整で還付金が発生する仕組み
年末調整で還付金が発生するのは、1年間で源泉徴収された所得税額が、最終的に確定した所得税額より多かった場合です。具体的な要因の1つとして、扶養控除の適用が挙げられます。配偶者や子どもなど扶養家族がいる方は、扶養控除が適用されることで課税所得が減少し、還付金が発生することがあります。
さらに、年度途中で給与が減少したり、転職して年収が低くなったりした方は、源泉徴収されていた所得税が実際の税額よりも多くなることがあり、その結果還付金が発生することがあります。
年末調整で還付金が発生しないケース
年末調整をしても還付金が発生しないケースもあります。
まずは、年間の所得税がそもそも少ないケースです。例えば、非課税所得の範囲内で働いている方や、もともと給与から控除されている所得税が非常に少ない方は、還付の対象となる税金が発生しません。そのため、還付金が発生しない場合があります。
次に、控除の適用がないケースです。新たに扶養控除や生命保険料控除などを受けていない場合は、途中で所得税額が変わることがないため、還付される金額も発生しません。また、医療費控除やふるさと納税の控除は年末調整では適用されないため、別途確定申告が必要です。
また、転職したばかりの方や、複数の会社から給与をもらっている方は、会社が年末調整をしていない場合があります。この場合は、確定申告をしなければ還付金は発生しません。さらに、給与計算の際に、正確な税額が計算されて源泉徴収されている場合は、年末調整の必要がないため、還付金が発生しないこともあります。
年末調整後に確定申告が必要な場合
年末調整で完結するケースがほとんどですが、特定の条件に該当すれば、別途確定申告を行うことで還付を受けられる可能性があります。
例えば、高額な医療費を支払った方は還付金が発生する可能性があるため、確定申告をしたほうがよいでしょう。一年間に支払った医療費が10万円以上(または所得の5%以上)を超えた場合は、確定申告をすることで医療費控除が受けられ、結果として還付金が発生することもあります。
また、副業での収入が20万円を超える方、年の途中で退職し再就職していない方が確定申告をすることで、還付金が発生するケースもあります。自分が当てはまるかどうかを確認しておきましょう。
年末調整の還付金を確実に受け取るために
年末調整は、給与所得者の税金の過不足を調整する仕組みであり、多くの人にとって還付金が発生する重要な手続きです。しかし、全ての人に還付金が発生するわけではなく、年収や控除の適用状況によっては還付金が発生しないケースもあります。
確実に還付金を受け取るためには、必要な控除を適用するための年末調整の書類を期限内に提出し、年末調整では還付されない場合は、確定申告を行う必要があります。
また、年の途中で転職した方や副業収入がある方など、通常の年末調整では還付されない場合もあるため、自分の状況をしっかり確認し、必要に応じて確定申告を行うようにしましょう。
出典
国税庁 年末調整がよくわかるページ(令和6年分)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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