確定申告中に、妻が「薬局のレシート」を持ってきた!「1万2000円は超えてる」とのことだけど、医療費控除は「10万円超」じゃないの? セルフメディケーション税制との違いとは

配信日: 2025.03.11

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確定申告中に、妻が「薬局のレシート」を持ってきた!「1万2000円は超えてる」とのことだけど、医療費控除は「10万円超」じゃないの? セルフメディケーション税制との違いとは
2024年分の確定申告の締切日が近づいてきました。確定申告で医療費控除という制度を使って節税できる目安として、「医療費が年間で10万円を超えるかどうか」ということを聞いたことがあるのではないでしょうか。
 
しかし、医療費が10万円を超えていなくても、医療にかかった費用を控除できる場合があります。ポイントとなるのは、セルフメディケーション税制という制度です。本記事では、確定申告におけるセルフメディケーション税制と、通常の医療費控除の違いなどについて解説します。
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セルフメディケーション税制とは?

セルフメディケーション税制とは、自分、または同一家計で生活している配偶者および親族のために、制度の対象となる医薬品の購入費用として支払った金額のうち、一定額を所得から控除できる制度です。
 
この制度を使うためには、控除を申告する人が健康の保持増進および疾病予防のために、次のような健康診断などを受けていることが必要です。


・健康保険組合や市区町村国保などが実施する健(検)診や人間ドック
・市区町村が生活保護受給者などを対象に実施する健康診査
・インフルエンザワクチンなどの予防接種
・勤務先で実施する定期健康診断
・特定健康診査(いわゆるメタボ健診)や特定保健指導
・市町村が実施するがん検診

 

対象医薬品の見分け方は?

制度の対象となる医薬品は、医師によって処方される医療用医薬品から、ドラッグストアで処方せんなしでも購入できる医薬品に転用された、スイッチOTC医薬品と呼ばれるものなどです。対象となる医薬品かどうかの見分け方は主に次の2通りがあります。
 

レシートを確認する

対象となる医薬品は、購入したときのレシートに制度の対象であることが記載されています。レシートの商品名の横に黒い星印がついているなど、レシートを見て一目で判断できるようになっています。
 

医薬品のパッケージを確認する

一部の対象となる医薬品には、商品パッケージに識別マークが印刷されています。具体的には図表1のようなマークが入っており、購入するときに見分けられます。
 
図表1

図表1

国税庁 令和6年分確定申告特集 セルフメディケーション税制とは
 
具体的な商品名で対象となる医薬品かどうかを調べたい場合は、厚生労働省のホームページに掲載されている「対象品目一覧」から調べることが可能です。
 

医療費控除と併用できないことに注意

セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例措置に該当します。そのため、通常の医療費控除と併用できない点に注意が必要です。
 
セルフメディケーション税制と、通常の医療費控除のどちらを利用したほうが良いのかは、かかった費用によって異なります。それぞれの控除額の計算方法は次の通りです。
 

セルフメディケーション税制

・計算式:実際に支払った対象医薬品購入費用-保険金などの補てん額-1万2000円
・上限額:8万8000円
 

通常の医療費控除

・計算式:実際に支払った医療費-保険金などの補てん額-10万円※
 ※その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額
・上限額:200万円
 

自分にとって節税効果の大きい控除を利用しよう

医療費が年間10万円を超えなくても利用できる所得控除の1つに、セルフメディケーション税制という制度があります。自分、または同一家計で生活している配偶者および親族のために費やした特定一般用医薬品等購入費のうち、最大8万8000円までの控除が可能です。
 
申告する条件として、申告する人が健康診断や予防接種などの健康増進のための取り組みを行っている必要があります。通常の医療費控除と併用できないので、かかった医療費の金額によって、どちらが自分にとって節税効果が大きいかを計算してから確定申告しましょう。
 

出典

国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】
国税庁 令和6年分確定申告特集 セルフメディケーション税制とは
厚生労働省 セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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