年金を受け取りながら「年収300万円」の嘱託社員として働く父。今までどおり会社で年末調整してるなら、「確定申告」は必要ない? 申告が必要・不要なケースとは
配信日: 2025.03.12

しかし、年金を受給しながら会社に勤めて給料をもらっている人は、確定申告しなければいけない場合があるので注意が必要です。本記事では、年金を受給しながら仕事をして給与所得を得ている人の確定申告について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
年金受給者は会社で年末調整していても確定申告が必要
会社は給与を支払うときに、納めるべき所得税などの金額を計算し、その額をあらかじめ従業員に支給する金額から差し引いて国に納めています。
これを源泉徴収といいますが、さまざまな事情で金額の調整が必要になるため、源泉徴収された年間の納税額と、実際に納めるべき納税額を一致させる精算の手続きを行います。これを年末調整といいます。
このとき、会社が年末調整の対象としているのは、自社が従業員本人に支払う「給与所得」しか対応していません。一方、年金は「雑所得」という別の所得区分となり、年金に対する税金は源泉徴収されていません。基本的には年金を受給しながら会社で働く人は確定申告が必要です。
年金受給者でも確定申告が不要になる制度がある
前項で解説した通り、会社で働きながら年金を受給している人は基本的に確定申告が必要になります。しかし、次の条件を両方満たすと確定申告が不要になります。
公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下
公的年金等とは、国民年金、厚生年金などの老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金など)や、確定給付企業年金から支給される年金などが該当します。これらの金額の合計が400万円以下であることが1つめの条件です。
公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
公的年金等に係る雑所得以外の所得金額とは、生命保険や共済などから支給される個人年金や、給与所得、生命保険の満期返戻金などです。これらの合計金額が20万円以下であることが2つめの条件となります。
確定申告で所得税の還付を受けられるケースもある
確定申告では、年末調整では対応していない控除を申告できます。主に次のような条件に当てはまる人は、確定申告することで所得税の還付を受けられる可能性があります。
医療費が年間10万円以上
本人や配偶者、同一家計で生活している親族の治療にかかった医療費がある場合、一定の金額を医療費控除として所得から控除できることがあります。年間の医療費が10万円以上ある場合は、控除を受けられる可能性がありますので具体的に計算してみましょう。
ふるさと納税を利用している
ふるさと納税は、限度額はありますが、確定申告することで所得税と翌年度の住民税から一定額の控除を受けられます。ワンストップ特例を申請していれば確定申告の必要はありませんが、ほかの理由で確定申告する場合はワンストップ特例が使えなくなるので、確定申告の中で改めて申請が必要です。
マイホームを住宅ローンなどで取得した
住宅ローンを利用してマイホームを取得または増築した場合、一定の条件を満たすと毎年の所得税額から、住宅ローンの年末残高を基に算出した金額を控除できます。この住宅ローン控除は、2年目以降は会社の年末調整で受けられますが、初年度は確定申告が必要です。
災害や盗難にあった
所有する資産が災害または盗難などで損害を受けた場合、一定の金額の所得控除を受けられます。
対象となる資産は、本人または総所得金額が48万円以下の配偶者や同一家計で生活している親族のもので、一定の条件を満たす資産に限られます。
確定申告するべきか、自分の状況を正しく把握しよう
年金を受給しながら会社で働いている場合、会社で年末調整をしていても確定申告が必要です。公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下で、かつ公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であれば確定申告は不要です。
その一方で、各種控除の適用によって還付金が受けられる可能性もあります。確定申告すべきかどうか、自分の状況を改めてチェックしましょう。
出典
政府広報オンライン ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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