年収103万円の壁が撤廃された場合、パート主婦(夫)が損をしない働き方をするにはどうすればいいのでしょうか?
配信日: 2025.03.13

その後、自民・公明・国民民主の3党での協議の結果を踏まえ、2025年12月20日に公表された2025年度税制改正大綱では「123万円」に引き上げることが示されました。
本記事では、年収103万円の壁の撤廃後の状況と撤廃された場合に、パート主婦(夫)がどのような働き方をすれば一番損をしないか解説します。

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
103万円の壁とは? どう変わる?
1.103万円の壁とは?
「年収103万円」の壁とは、所得税の支払いが発生する年収です。すなわち、パート主婦(夫)であれば、年収103万円以下は所得税が課税されません。その非課税となる103万円の内訳は、基礎控除48万円と給与所得控除55万円の合計である103万円が控除の対象となります。
たとえば、年収105万円の場合には、105万円から103万円を差し引いた2万円に所得税がかかります。具体的には、2万円×5%=1000円の所得税を支払う必要があります。
また、2037年までは、復興特別所得税もかかってきますので、源泉徴収すべき所得税額の2.1%、すなわち1000円×2.1%=21円が課税されます。したがって、年収105万円の場合、所得税が1000円、復興特別所得税が21円の、合計1021円を税金として納付する必要があります。
2.どう変わる?
2025年からは、この103万円の壁が、123万円となる予定です。その内訳は、基礎控除と給与所得控除がそれぞれ10万円アップして、それぞれ58万円と65万円となり、その合計額である123万円が所得税の支払いが発生する年収となります。
なお、国民民主党は、178万円まで引き上げるよう要請しており、今後、継続して協議を行うことになっていますので、将来は、さらに引き上げられる可能性があるかもしれません。
パート主婦(夫)がどのような働き方をすれば一番損をしないか
昨年までは、年収103万円を超えると所得税がかかるので、働き控えをしてきた方がたくさんいらっしゃると思います。本年度からは、103万円の壁が123万円となり壁が高くなる予定ですので、基本的には年収123万円まで働いても所得税を払う必要がありません。
したがって、今まで働き控えをしていた方は、働く時間を増やしたり、年収の調整する目的で短期のアルバイトを行ったりして、年収123万円に近づけるように働く時間を増やすこともできます。
ただし、年収が106万円を超えると、パート・アルバイト先が「特定適用事業所」である場合には、社会保険に加入することが義務化されていますので、勤務先の事業所に確認をする必要があります。
なお、社会保険の加入条件は下記のとおりです。すべての条件を満たすと加入義務が生じますので、パート主婦(夫)が働く際の参考にするとよいでしょう。
(1) 適用事業所の厚生年金保険の被保険者の総数が51人以上
(2) 週の所定労働時間が20時間以上
(3) 月額賃金が8万8000円以上
(4) 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
まとめ
年収103万円の壁が2025年度から撤廃され、年収123万円になる予定です。したがって、パート主婦(夫)で働き控えをしていた方は123万円になるまで働いても所得税がかかりません。
しかし、社会保険料の支払い義務が生じる106万円の壁がまだ撤廃されていないので、ご自身がお勤めの事業所に社会保険料の支払いはどうなるかを確認し、一番損にならない働き方をするのがよいかと思います。
出典
厚生労働省 『年収の壁について知ろう』あなたにとってベストな働き方とは?
財務省 令和7年度税制改正の大綱(令和6年12月27日)
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー