12月のボーナスが想像より多く、年末調整の「見込み額」を上回ってしまいました…。妻から「配偶者控除が受けられないのかな?」と聞かれましたが、確定申告すればどうにかなりますか?
配信日: 2025.03.13

この記事では、配偶者控除の仕組みや適用される条件、また修正方法について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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配偶者控除とは? その意味と仕組み
まずは、配偶者控除の基本的な仕組みと、適用される条件を確認しましょう。
配偶者控除の基本的な定義
配偶者控除とは、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合、一定の金額の所得控除が受けられる仕組みです。
参議院 財政金融委員会調査室が公開している資料によれば、配偶者控除が存在する理由について、「配偶者控除は、居住者(納税者)が一定所得金額以下の配偶者を有する場合、その納税者本人の税負担能力の減殺を調整する趣旨から設けられている。」としています。
分かりやすく言い換えると、配偶者の収入が少ないことで家計全体の経済的な余裕が減ることを考慮し、税金の負担を調整するための仕組みです。
配偶者控除対象者の範囲
控除対象となる配偶者は、その年の12月31日の時点で、次の4つの要件すべてに当てはまる人となります。
(1)民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しない)
(2)納税者と生計を一にしていること
(3)年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
(4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと
出典:国税庁「No.1191 配偶者控除」を基に筆者作成
なお、平成30年分以後については、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1000万円を超える場合、配偶者控除は受けられないとされています。
つまり、ボーナスが見込み以上の金額になったことで所得が1000万円を超えた場合には、配偶者控除が受けられないということです。
配偶者控除が適用される条件は?
「配偶者控除対象者の範囲」の章でも述べたとおり、配偶者控除が適用される基本的な条件として、下記の2つが挙げられます。
・納税者の合計所得金額が1000万円以下であること
・配偶者の年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)であること
なお、給与所得の他に不動産所得や一時所得(生命保険の一時金や満期の返戻金、懸賞や福引の賞金、競馬や競輪の払戻金など)、譲渡所得などを得ている場合でも、その年の合計所得金額が48万円以下であれば、配偶者控除の対象です。
配偶者の所得が48万円を超えてしまう場合は、納税者の合計所得金額が1000万円以下であっても、配偶者控除の条件から外れます。
納税者が年末調整の「見込み額」を上回ったら配偶者控除は受けられない?
年末調整を行う前に「給与所得者の配偶者控除等の申告書」に記載してある「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」に差異が生じることが分かった場合には、記載内容を訂正し、適正な配偶者控除額を計算しましょう。
もし、年末調整後に所得金額の見積額と確定額の差額に気付いた場合には「給与所得の源泉徴収票」が交付される翌年1月末日までであれば年末調整のやり直しが可能です。
つまり、納税者が所得の見込み額を上回っただけでは、合計所得金額が1000万円を超えたかどうかが分からないため、配偶者控除を受けられないわけではありません。
なお、翌年1月末日までに年末調整を終えられなかった場合で最終的な合計所得が1000万円を超えた場合は、2月16日〜3月15日の期間に個人で確定申告をする必要があります。また、翌年1月末日までに年末調整の修正が間に合わなかった場合も、確定申告にて修正が可能です。
正しい計算で、配偶者控除を受けましょう
ボーナスが想定よりも多く、年末調整の見込み額を上回った場合でも、配偶者の合計所得金額が48万円以下(年収が103万円以下)で、納税者の最終的な所得が1000万円以下であれば控除を受けることができます。
年末調整後であっても、翌年1月末までに修正をするか、2月16日〜3月15日までの期間に行う確定申告によって修正できるため、適切に対応しましょう。
出典
国税庁 No.1191 配偶者控除
参議院 財政金融委員会調査室 配偶者控除を考える
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー