2025年から大学生バイトでも「年収150万円」まで扶養に入れる? 年齢によっては「123万円」の場合もあるって本当? 扶養を超えた場合の“税負担”も解説
配信日: 2025.03.13

しかし、2025年度の税制改正により新設された「特定親族特別控除」を適用することで、年収150万円までは親の税負担が増えずに働けるようになります。
ただし、全ての学生が「150万円まで稼いでも大丈夫」というわけではありません。年齢によっては、123万円を超えると親の税負担が増える場合があります。
本記事では、新しい扶養控除の仕組みと、親の税負担を増やさないために気をつけるべき点を解説します。

執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
2025年から特定親族特別控除が新設
これまでは親の税制上の扶養となるために、子どものアルバイト収入を年収103万円以内に抑える必要がありました。子どもの収入が103万円を超えると、親は扶養控除を使えなくなり、親の税負担が増えてしまっていたのです。
しかし、2025年からは「扶養控除の拡大」と「特定親族特別控除の新設」により、子どものアルバイト収入が150万円までなら親の税負担が増えないケースが出てきます。
まず、扶養控除の適用範囲が広がり、所得税の基礎控除の額が現行の48万円から58万円に、給与所得控除の最低保障額が現行の55万円から65万円に引き上げられました。
それによって、58万円+65万円の年収123万円まで扶養控除を適用できるようになったため、その範囲内であれば親の税負担は増えません。
さらに、年収123万円を超えても188万円以下で、「子どもの年齢が19歳から22歳」の場合は特定親族特別控除が適用されます。「19歳から22歳」は一般的に大学生の年齢です。
特定親族特別控除の控除額は図表1の通りで、扶養される人の年収によって異なりますが、年収150万円までは特定扶養親族の扶養控除と同額です。 このため「大学生は150万円まで稼いでも問題ない」ということになります。
図表1
財務省 令和7年度税制改正の大綱、国税庁 No.1180 扶養控除 より筆者作成
ただし、年収130万円を超えると社会保険の扶養から外れる可能性があるため、事前に確認が必要です。 社会保険の扶養は「一時的な給与アップ」であれば継続できる場合もありますが、トラブルを避けるため、事前に健康保険組合に確かめておきましょう。
「大学生だから150万円まで稼いでよい」とは限らない
「大学生なら年収150万円まで大丈夫」と確認しましたが、この認識は誤解を招く恐れがあります。特定親族特別控除は、「12月31日時点で19歳から22歳の親族である場合に適用されるもの」であり、「大学生であれば無条件に適用されるもの」ではありません。
例えば、2024年4月入学の現役合格した2006年2月生まれの大学1年生は、2024年12月31日時点で18歳のため、特定親族特別控除の対象外です。
また、2021年4月に1浪して入学した2001年5月生まれの大学4年生や、医学部・薬学部など6年制の大学に通う大学6年生は2024年12月31日時点で23歳以上となるため、同様に特定親族特別控除を適用できません。
扶養を超えると税負担はいくらになる?
「150万円まで稼いでも大丈夫」と勘違いし、実際には扶養控除を適用できなくなった場合、扶養者の税負担はどれくらい増えるか考えましょう。
特定扶養親族(19歳から22歳)や老人扶養親族(70歳以上)にあたらない、一般の親族を扶養する場合の扶養控除額は所得税38万円、住民税33万円です。
所得税は累進課税のため、所得金額に応じて「所得税控除額38万円×税率」で求めた金額、住民税の税率は一律10%のため、控除額33万円の10%にあたる3万3000円の税負担が増えます。
年収400万円、600万円、800万円の場合の税負担増の金額は以下の通りです。
年収400万円(所得税率5%):所得税負担 1万9000円+住民税負担 3万3000円=合計5万2000円
年収600万円(所得税率10%):所得税負担 3万8000円+住民税負担 3万3000円=合計7万1000円
年収800万円(所得税率20%):所得税負担 7万6000円+住民税負担 3万3000円=合計10万9000円
※所得税率は、同じ年収でも控除の状況によって異なる場合があります。
扶養控除が使えなくなるだけで、これだけの税負担増となるため、収入が123万円を超えないよう注意が必要です。
学生バイトの年収は把握しておこう
2025年度の税制改正により、特定親族特別控除の新設で、アルバイト収入が150万円までなら親の税負担が増えないケースが出てきました。ただし、学生バイトだからといって全員が150万円まで働けるというわけではなく、「12月31日時点で19歳から22歳」であることが条件です。
この年齢要件を満たさない場合、年収が123万円を超えると税制上の扶養から外れます。 不要な税負担増を防ぐために、自分の子どもがいくらまで稼いで大丈夫なのか、しっかり確認して子どもに伝えておくことが大切です。
出典
国税庁 No.1180 扶養控除
財務省 令和7年度税制改正の大綱
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士