所得があり、確定申告で医療費控除をする予定だった人が亡くなった場合、どのような手続きが必要?

配信日: 2025.03.15

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所得があり、確定申告で医療費控除をする予定だった人が亡くなった場合、どのような手続きが必要?
例年2月16日から3月15日までの期間は確定申告のシーズンです。前年の1月1日から12月31日までの1年分の所得を計算して申告し、税金を納めます。もっとも、会社員や公務員の場合は、医療費控除などの申告がなければ年末調整を行い、確定申告は不要です。では、所得のある人が亡くなった場合にはどうするのでしょうか?
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

準確定申告

所得のある人が亡くなった場合、原則として相続人が亡くなった人の確定申告を行います。これが準確定申告です。準確定申告書の提出と納税の期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内です。
 

準確定申告の所得控除について

医療費控除の対象になるのは、亡くなる日までに、亡くなった人が払った医療費が対象です。亡くなった後に相続人が払った医療費は、準確定申告の医療費控除の対象にはなりません。しかし、亡くなった人の医療費を払った相続人が、それまで被相続人と生計を一にしていれば、自身の医療費控除の対象となります。
 
社会保険料控除や生命保険料控除、地震保険料控除等の対象になるのは、亡くなった日までに被相続人が支払った保険料等の額が対象です。
 
配偶者控除や扶養控除等の対象になるか否かは、亡くなった日の状況により判断します。配偶者控除額、配偶者特別控除額および扶養控除額の月割計算等はしません。
 

亡くなった人が、前年の確定申告を行っていなかったら

1月1日から3月15日までに亡くなった場合、その前年の所得に対する確定申告を行っていない可能性もあります。
 
そういう場合、相続人が亡くなった年の準確定申告と併せて、亡くなった人の前年分の確定申告も行わなくてはなりません。この場合の期限は、準確定申告も前年分の確定申告も、どちらも相続の開始があったことを知った日から4ヶ月以内です。
 
<準確定申告の手続き>
準確定申告書とともに、付表も併せて提出します。付表には相続人の氏名、住所、それに亡くなった人との続柄を書きます。提出先は亡くなった人の、亡くなった当時の住所地を管轄する税務署です。
 
<準確定申告が不要な場合>
以下の人は、そもそも確定申告が不要です。つまり、準確定申告も不要です。
 

・年末調整を済ませた会社員や公務員
・いわゆる年金受給者のうち、公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象であることに加え、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である人

 
もっとも準確定申告は不要ですが、医療費控除等で税金の還付を受けるためには、準確定申告が必要です。
 
また、相続放棄した場合は相続人ではありませんので、準確定申告は不要です。
 

まとめに代えて

人が亡くなった直後というのは、精神的な負担もあり、やるべきことが多く何かと慌ただしいものです。しかし、準確定申告の期限は、相続開始があったことを知った日の翌日からわずか4ヶ月。税金の計算をするにも、さまざまな書類が必要となる場合もあります。残される人のことも配慮して、日頃から整理整頓を心がけておきたいものです。
 

出典

国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
政府広報オンライアン 確定申告不要制度
国税庁 死亡した父親の医療費
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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