娘の「歯列矯正費用50万円」を1年ローンで支払うことに。年収500万円だと医療費控除でいくら節税できる?
配信日: 2025.03.18

ただし、美容目的の歯列矯正は医療費控除にならないケースもあるので、注意しましょう。今回は、歯列矯正が医療費控除の対象になる場合や節税できる金額などについてご紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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歯列矯正は条件を満たすと医療費控除の対象になる
歯列矯正が医療費控除の対象になるかどうかは、その目的によります。国税庁によると、歯の治療に伴う費用で医療費控除が適用されるのは以下のような項目です。
・一般的とされる治療かつ費用を超えない範囲での歯の治療
・子どもの成長を阻害しないための不正咬合の歯列矯正など、年齢や目的からみて歯列矯正が必要だと認められる人が治療に支払った費用
・治療のための通院費
例えば、歯のかみ合わせが悪く食事に支障をきたしていたり、子どもの成長過程で必要になったりしたため歯列矯正をした場合、その費用は医療費控除に加算できるでしょう。
しかし、「日常生活に支障はないが歯の並びをきれいに見せたい」といった理由での歯列矯正は、美容目的とみなされ医療費控除に加算できない可能性があります。医療費控除に該当するか分からない場合は、税務署や専門家に一度相談するとよいでしょう。
なお、歯列矯正をローンで支払った場合も治療のためなら医療費控除の対象になります。ローンで支払っているため医療費の証明書として歯科医の領収書が用意できない場合は、ローンの契約書やローン会社との領収書を保管しておきましょう。なお、ローンの金利や手数料相当分は医療費控除の対象から除外されます。
医療費控除額の求め方
医療費控除額の求め方は「実際に負担した医療費の合計額-保険金や高額療養費制度などから支給された金額-10万円」です。最大で200万円まで、所得額から控除できます。
ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の場合、医療費控除は「実際に負担した医療費の合計額-保険などから支給された金額-総所得金額等の5%」です。総所得金額を確認してから医療費控除額を求めましょう。
歯列矯正が医療費控除の対象になるといくら節税できる?
医療費控除以外の所得控除によっても納税額は変わるため、年収が500万円でいくら節税できるかは一概にはいえません。今回は、以下の条件で医療費控除が適用されたときと適用されないときの税額差を求めましょう。
・東京都在住40代の会社員
・年収500万円
・全国健康保険協会に加入
・賞与は考慮しない
・年収を12ヶ月で割った金額を月収とする
・控除は医療費控除、社会保険料控除、給与所得控除、基礎控除のみ
・社会保険料控除、給与所得控除、基礎控除は令和6年度のもの
・住民税率は基準値
・歯列矯正は1年で50万円を支払ったとする
・保険や高額療養費制度などによる支給はない
・復興特別所得税は考慮しない
まず、年収500万円の場合、給与所得控除は144万円となるため、給与所得が356万円となります。所得金額から所得控除を引いたものに税率をかけると、税額が分かります。条件を基にした計算結果は表1の通りです。
※筆者作成
計算すると、医療費控除を利用したほうが所得税は3万8200円、住民税は約4万円安くなる結果でした。
税金が合計7万8200円ほど安くなる可能性がある
国税庁によると、治療のためなら歯列矯正も医療費として医療費控除に合算できます。ローンを組んで歯列矯正そのものの領収書がない場合は、ローンの契約書かローンを組んでいる機関との領収書を保管しておきましょう。
もし年収500万円の方が年に50万円の医療費を支払っていると、今回のケースでは、所得税が3万8200円、住民税は4万円ほど安くなる可能性があります。ただし、ほかの控除や条件によっては金額が変動する可能性もあるので、あくまでも目安としてください。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー