住民税にはどれだけの幅があるの?基本的な考え方を解説
配信日: 2025.03.28

この記事では、住民税の基本や計算方法、自治体ごとの具体的な税額を比較し、解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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住民税は自治体ごとに違う
住民税は、各自治体が提供する公共サービスの財源です。基本の税率は国税庁によって定められていますが、地域の財政状況や政策によって税率や税額は異なります。
例えば、教育や福祉に力を入れるために税率を高く設定している自治体もあれば、若者人口の増加を狙って税率を下げる自治体もあります。
住民税の計算方法
住民税は、大きく分けて「所得割」と「均等割」の2つで構成されています。
所得割は、前年の課税所得に応じて課される税金で、一般的に課税所得金額に対して都道府県民税4%と市区町民税6%の合計10%の税率で適用されます。
均等割は、前年の所得に関係なく、住民全員に一律で課される税金です。標準的な税額は年間5000円(都道府県民税1500円、市町村民税3500円)ですが、自治体が条例を定めている場合は異なります。
例えば、給与の支払われ方によって控除金額は異なりますが、とあるシミュレーションサイトを利用したところ、東京都千代田区に住む年収500万円の35歳独身者(他の所得や生命保険などの控除は考慮しない)の場合、住民税は都民税が12万5700円、区民税が18万9700円、合計額は約31万5500円(月額約2万6291円)である可能性があります。
住民税の金額の概算
住民税の税率は、前述の通り10%の標準税率が地方税法で定められています。ただし、扶養の有無や年齢、同じ年収でも住む場所の条例によって住民税の税額は異なります。また、現在は森林環境税1000円が国税として個人住民税均等割に加えられます。
以下の表1と表2は、年収による住民税の目安です。計算結果を比較しやすくするため、基礎控除・配偶者控除・扶養控除・社会保険料控除のみを適用して計算しています。また、社会保険料は2025年1月時点の税率を適用して算出しています。
表1
30歳 独身 | ||
---|---|---|
年収 | 社会保険料 | 住民税 |
300万円 | 約45万9000円 | 約11万6000円 |
500万円 | 約72万6000円 | 約24万3000円 |
700万円 | 約104万3000円 | 約37万5000円 |
700万円 | 約121万7000円 | 約54万3000円 |
筆者作成
表2
50歳 既婚 配偶者・子ども2人(18歳・16歳) | ||
---|---|---|
年収 | 社会保険料 | 住民税 |
300万円 | 約48万4000円 | 約1万1000円 |
500万円 | 約76万5000円 | 約13万200円 |
700万円 | 約110万円 | 約27万1000円 |
700万円 | 約128万9000円 | 約48万7000円 |
筆者作成
住民税の高い地域・安い地域の違い
住民税の金額は、自治体ごとの政策や財政状況によって異なります。全国の標準税率は10%です。ここでは、名古屋市、大阪市、福岡市の住民税を比較してみましょう。
名古屋市:均等割は4300円(県民税1500円、市民税2800円)で、所得割の税率は9.7%(県民税2%、市民税7.7%)と、標準税率よりも低く設定されています。
大阪市:均等割は4300円(府民税1300円、市民税3000円)で、所得割の税率は標準通り10%(府民税2%、市民税8%)です。
福岡市:均等割は4500円(県民税1500円、市民税3000円)で、所得割の税率も標準通り10%(県民税2%、市民税8%)となります。
同じ年収でも住む場所によって住民税の金額が異なることが分かります。
年収190万円以下は2026年から住民税が減税される
詳細は今後の国会の審議によりますが、2025年の税制改正によって、給与所得控除のラインが55万円から65万円へ引き上げられることは、年収190万円以下の方の住民税にとってメリットになります。
所得税の減税割合が大きくなることもメリットのひとつですが、前年(2025年)の年収が反映される2026年の住民税も減税される見込みです。
また、住民税が非課税になる年収ラインも、現在の100万円以下から110万円以下に引き上げられる予定です。住民税非課税家庭になると、自治体から給付金が支給されたり、国民健康 保険料や国民年金保険料が減免されたりするなどのメリットがあります。
住民税は一律ではないことに注意
住民税は、自治体ごとに税率や税額が異なり、負担額が変わります。特に、名古屋市は独自の減税政策により、同じ年収でも他の都市よりも住民税が低く設定されています。引っ越しや転職を検討する際は、住民税の違いも考慮するとよいでしょう。
出典
総務省 個人住民税
国税庁 住民税
名古屋市 税額の計算方法
名古屋市 所得割の税率
大阪市 税額の計算
福岡市 個人市民税(住民税)
福岡市 個人市民税(住民税)所得割の税率、税額控除額
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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